これは僕が物心ついてから5歳くらいまで体験していた話。
この頃の僕は保育園にも行っていたんだけど、ズル休みをする日も多くて一週間に3日間くらいは家にいた。
その当時住んでいた家は部分的に二世帯住宅でリビングが二階に二つあった。
二世帯住宅とは言っても、両親は離婚していて家にいなく祖父母と暮らしていた。
祖父母はお互いに仕事をしていて、ズル休みをしていた日は一人で家にいるのが当たり前だった。
今考えればおかしいことだけど、この家には目には見えない同居人がいる。
僕が二階でテレビを観ていると、一階から階段を上ってくる足音が聞こえる。
誰かが帰ってきたのかと思い階段の方に行くが誰もいない。
そして、リビングに戻ると観ていたテレビの電源が落ちている。
このようなことが日常的に起きていたため、特に怖いと思ったことはない。
ただ、一度だけ怖いと思った体験があった。
それは夏の暑い時期に一人で家にいた時のこと。
その時は、一階の和室の部屋でテレビゲームをしていた。
しばらくしていると二階から一階に降りてくる足音が聞こえた。
ただ、いつもの同居人の足音とはリズムが違う。
気が付くと目の前のテレビの電源が落ちていた。
今まで、観ているテレビやゲームを切られたことはない。
いつもと違う状況に完全に怖くなっていた。
ゲームのコントローラーを手放し、背の低いテーブルの下に隠れた。
そのころには、足音は一階にまで来ている。
普段であれば、一階の床に到着したら足音はなくなるのに、今回は僕のいる和室へ向かってきた。
僕は廊下から目が離せなかった。
廊下から土で汚れた大きな足が出てきた。
恐怖のあまり、声は全くでなかった。
テーブルの下にいたので膝の下あたりまでしか見えなかったが、灰色のような肌で全体に土汚れがあった。
その足は向きを僕の方に変えて、こちらにゆっくりと向かってくる。
僕の隠れているテーブルまで来ると、急に頭が痛くなって気を失ってしまった。
目が覚めると僕はテーブルの下にいた。
なにが起こったのか、よくわからなかったので夢でも見ていたのかと思った。
テーブルから出て、廊下に行くとそこには土で汚れた大きな足跡があった。
普通に怖い