始まりは『思い出せない夢』
投稿者:ぴ (414)
その日、私は朝から情緒不安定で、なんだかずっとイライラしていました。
おそらく朝の夢見が悪くて、そのせいで精神的に不安定だったんじゃないかと思います。
あまり夢は見るほうじゃないのですけど、その日は久しぶりに夢を見ました。
でも困ったことに、どんな夢だったのか思い出そうとしても全貌が見えてこなくて、そのモヤモヤにもイラ立つ気持ちを抑えられませんでした。
多分何か怖い夢だったような気はします。
それは分かってもどういう夢か思い出せそうで思い出せないのです。
落ち込んだ気分のまま仕事に向かっており、私は車を走らせていました。
このモヤモヤを吹き飛ばすために、信号待ちの間にタバコをくわえて、私はどうにかしてイライラを誤魔化そうとしていました。
信号が青になって、じわりとアクセルを踏みこんで、しばらく運転をしているとなんだか雲行きが怪しくなってきます。
家を出発したときは洗濯日和と言ってもいいくらいにいい天気だったのに、気づけばどんより雲が出て、今にも雨が降りそう。
まるで自分のナーバスな気持ちを反映しているみたいだなと感傷的になりました。
その日は急に天気がガラッと変わったせいで、車に傘もなくてより凹みました。
天気を気にしながら運転していたら、それは起こったのです。
急にドーンというすごい衝撃が私の体を揺らしました。
後ろから車に追突された音でした。
その衝撃があまりに凄すぎて、最初は何が起こったのかよく分かりませんでした。
気づいたときには顔面を拭うと血が出ていて、片腕は変な方向に曲がっていたし、目の前は霞がったようにぼんやりしています。
全身に痛みがありすぎて麻痺しているみたいな違和感がありました。
自分がどうなっているのか分からない状態で、うっすら寒気がしていました。
私は車の外を見たのです。
もうすごい状態でした。
近くで車が大破し、燃え上がっているのが見えました。
誰か女の子が外で倒れているのを、母親らしき人がよろよろ近づいて助け起こそうとする姿も見えます。
玉突き事故みたいな様子でした。
私は意識が朦朧とする中で、その状態を見て「あ、しんだ」って思いました。
そして朝の夢見が悪かったのはこのせいかもしれないと思ったのです。
意識がなくなる寸前に、声を聴きました。
本当に不思議な声でした。
その声は小さな子供のような声で、焦ったように「あー、間違えた」と言ったのです。
本当にこの場にふさわしくない柔らかな声で、私はなにこの声とぼんやり思いました。
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