始まりは『思い出せない夢』
投稿者:ぴ (414)
まるでこの事故が小さな失敗の一つのように言っているように思えて、少し腹が立ちました。
声の主も分からないのに、なんとなく憎らしく思って、私はその気持ちを最後に、さっと意識を失いました。
次に目を開けたのは病院のベッドなどではなく、普段見慣れた家のベッドの上でした。
起きた瞬間にさっきの出来事を思い出して、ぞっとするものを感じました。
私は起きてしばらくの間、ぼうっとしていました。
そしてさきほど見た悪夢を詳細に思い出すのです。
「夢だったのか」と安心すると同時に、あまりにリアルすぎる玉突き事故の悪夢に自然と鳥肌を立てていました。
夢が本当に起こったことじゃなくて良かったと思ったし、夢で曲がっていた腕が正常な位置にあることを確認して、心底安堵しました。
その夢のせいで、私はしばらくナーバスな気持ちを抱えたままです。
ただそんなことを考えても、刻々と時間は過ぎていきます。
出社しなければいけない時間が近づいてきて、私はおそるおそる車に乗り込みました。
夢のせいで、私はとても落ち込んでイライラしていました。
よく分からない恐怖に追いかけられるように身を震わせてもいました。
いつもの時間、いつものように会社に向かって車を走らせていて、信号が赤になって止まります。
無意識にタバコをくわえて、「アレ」と違和感でした。
そう、あの夢と全く同じことを繰り返していることに気づいたからです。
慌てて車の外を見たら、いつの間にか雨が降りそうな雲行きになっています。
すべてあの悪夢を繰り返していることに私はここでやっと気づいたのです。
内心焦りました。
自分がもう少し勘がいい人間だったらもっと早く気づけたと思うのです。
しかし、もう遅くてドーンという音が私の耳を揺らしました。
気が付いたら、目の前に炎があがっていました。
怖くて怖くてたまらなかったけど、私はその場を動けませんでした。
車に体が挟まれて動けなかったのです。
動けなくて必死に外に助けを求めたけど、周りは冷たかったです。
どんなに叫んで助けを求めても、みんな自分のことで精いっぱいで、私を火の車から助けてくれる人は現れなかったです。
対向車の中からこちらを呆然と見ている人と目が合いました。
でもその人も助けになど来てくれず、諦めたように目を逸らされました。
全身骨折しているような痛みもあったけど、痛みよりも熱くて苦しくて前の夢よりもさらに酷い状況でした。
こうして私は熱さと煙に意識が朦朧として、ついに意識を失くしたのです。
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