10階の謎
投稿者:せんべい (11)
短編
2022/08/28
04:04
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とあるビルに資格試験を受けに行ったときです。
試験会場は9階で、私は見知らぬ男性と2人エレベーターに乗り合わせて9階のボタンを押しました。男性も同じ試験を受けるらしく、階を尋ねると9階で大丈夫です、とのこと。
なので、それ以外のボタンは押さずに閉めるボタンを押しました。
何ともなしにエレベーターの文字盤を見ていると、なぜか9階に止まらずにそのまま登り始めたのです。
思わず私は、男性に問いかけました。
「私、9階押しましたよね?」
「…押してました」
と男性も訝しげに答えてくれました。そんなことを話していると、エレベーターは10階に止まりました。
扉が開くと、そこは電気の消えたがらんどうの大広間。もちろん、誰もいません。私は男性と顔を見合わせ、嫌な気持ちになりながらすぐ閉めるボタンを押して9階に降りました。
今度は無事、9階で扉は開きました。
明るく、試験を受けるのであろう人たちでひしめき合っていました。
私達はなんとも言えない顔のままエレベーターを降りてそれぞれの試験部屋へと向かいました。
その後、私はしばらく何度か同じようなエレベーター誤作動に見舞われました。今ではそんなこともなくなりましたが、あれはなんだったのだろうとたまに思い出します。
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