それでも自殺はやめた方がいい

彼女は何千回も何万回も階段を登り、屋上に行き、飛び降りている

これは別に何かの呪いとか神様の罰とかそういうものじゃない

本人の意識が自殺に囚われているのだ

もし、仮に本当に自殺することに納得しているのなら、こんなことにはならない
そのまま成仏する

だが、大抵はそうはいかない
自分で選んだ死であっても、やはり納得はできないのだ

本当は生きたかった
死にたくはなかった

そういう想いが永遠と繰り返す自殺を引き起こすのだ

本当に自殺をしたいと思っても、よくよく考えた方がいい

最近は気軽に自殺はよくないというな、その人の苦しい気持ちも考えろと言われることが多くある

自殺したいくらい苦しい気持ちがあるのなら、自殺させてあげるべきという考えを否定はできない

だが
それでも自殺はやめた方がいい

何故なら死んだところで、その苦しい気持ちは消えはしないからだ

その気持ちは肉体が消えてもなくなりはしない
むしろ、肉体がなくなることでよりその気持ちは強くなる

精神的苦痛は現世で立ち向かうしかない
苦しいことだけど

今日もその自殺者の霊を見る
その顔はもはや人のものではなくなっていた
それでも個体と液体の中間になった足を引きずり、身体中から血をまき散らしながら、彼女は屋上へとまた向かう
自分がやってしまった行為が自分の中で消化しきれるまで

でも、私には何もできない
誰も何もできない

今日も目を反らし、それでも気になり、ちらっと見てしまい、また後悔して

これが私の日常だ