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心霊

Tochikaさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

真夜中、壁一枚向こう側
短編 2026/10/24 07:36 25view

格安のホテルに泊まってて、気づいたら幽霊がいた。そして――追加料金を取られた。
俺は何も悪くないと思っている。

そのホテルは周囲のホテルが8000円を超えてるというのに、4000円弱だった。クチコミに『幽霊が出る』とか『違約金を取られる』などと多数書いてあった。

俺は幽霊なんて見たことがないし、出たところでホテルの人に言って、部屋を変えてもらえばいい。違約金だって、ルールを守らないやつが悪い――そう思っていた、その時は。

実際にホテルを訪れてみると、いまどき重い鉄の扉に丸型のドアノブがついていて、オートロックすらなかった。昭和の生き残りのようなホテルだったから、安さにも納得がいった。

その夜中、俺が寝ているとドアが激しくノックされた。なにごとかと思ってドアを開けると、ホテルマンが立っていた。

「お客様、お連れ様がいらっしゃいますよね?」

そう言われても心当たりがなかった。

俺は何かの間違いだと思ってたが、ホテルマンは真顔で何らかの確証があるようだった。

「連れなんていないから、部屋の中を見てくれよ」
俺が部屋の中を見ると――ぼんやりとした輪郭の、赤いドレスを着た女が立っていて、思わず声を上げてしまった。

ホテルマンは「お連れ様の分――違約金として1000円を頂戴いたします」となにごともないように言った。「あれは幽霊だろ」と言っても「ご予約にない方をお部屋にお招きになることは、禁止しております」と言われた。

「あの幽霊は俺と無関係だし、このホテルにもともといたんじゃないのか?」とか「むしろ割り引くべきだろ」とか色々と強く言ったが、ホテルマンは淡々と「それでしたら、警察にご相談することになりますが」と答えた。

結局、チェックアウト時に精算することにした。
納得はいかなかったが、面倒だし、払ったとしてもまだ安いし、なにより早く寝たかったからな。

しかし、部屋に幽霊がいるなら、おちおち寝ていられない。「せめて部屋を変えてくれ」とも言ったが、ホテルマンは「満室でございます」と表情を崩さなかった。

ドアを閉めたあと、部屋を見るとあの幽霊はいなくなってた――と思ったら壁に顔をつけるように立っていた。

輪郭がぼんやりしているとはいえ、俺が想像していた幽霊よりはっきり見えてた。もし触れるなら、部屋から引っ張り出して安眠できると思った。
で、背中に手を伸ばしてみたら――みごとにすり抜けて壁に手がついた。

やっぱりダメかとガッカリしていると、女の幽霊が振り向いて睨みつけてきた。
下唇を噛み、目に涙を溜めて、両腕で胸を隠すようにして。

まるで俺がむりやり胸を触ったみたいになってるが、俺の手にはなんの感覚もなかった。冤罪だろ。

隣の部屋のドアを激しくノックする音、しばらくして開く音が聞こえた。
女の幽霊は俺を恨めしそうに見て、壁を抜けて出ていった――少しして泣き声と悲鳴が聞こえてきた。

俺は何も悪くないよな?

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関連タグ: #声#心霊#警察
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    2026/10/24/07:40

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