身代わり
投稿者:cocoro (16)
すると、父がとても危険な状態にいることを気付いてくれて、母の心配している声も聞こえるけれど、もう耳にはいってきません。
家族の声がだんだん近づいてくるのがわかります。
パニックになりかけたその時、父が
『A、行け!○○(私の名前)のところに行け!』という声が聞こえ、柴犬のAちゃんがすごい勢いで走ってきました。
走ってきたと思ったら、私にじゃれつくのではなく、なぜかすぐに私とマムシの間に入ってウ~~ッ!唸り始めました。
視界からマムシの恐怖をとって立ちふさがってくれたのです。まるで、マムシがそこにいるのをしっていたかのように。
いつもは、離されると喜んで飛びついてくるのですが。飛びついてこられていたらよろけて、マムシに噛まれていたことでしょう。
柴犬のAちゃんが、間に入ってくれたおかげで、急に固まっていた体が動くようになりました。
それで、柴犬のAちゃんをマムシから助けようと私は一生懸命名前を呼んだのですが、その場から私が離れて安全な所へ行くまで動かないことに徹したのか、動きません。
私は、柴犬のAちゃんも心配ですが、とりあえず怖さから逃れるために、Aちゃんを呼びながらも家族のもとへ行こうとし、ふと振り返るとマムシに噛みつこうとしているのが見えました。
『Aちゃん!あかん!噛まれる!』
柴犬のAちゃんは鼻の頭を噛まれたようでした。Aちゃんも負けじとマムシに嚙みついたようでした。毒があるのに大丈夫かなと心配しているところへ家族が駆け寄ってきました。柴犬のAちゃんを父が呼び、Aちゃんはこちらへ歩いてきましたが、自分の役目を終えたとばかりに、とっとと、元来た道を戻っていきます。
父と母に先ほどまでの様子を伝えると、犬はマムシに対する免疫を持っているから大丈夫や心配するなといわれ、ホッとしました。
死なないけど痛いよね。私が勝手な行動をしたから。。。ごめんね。Aちゃんありがとう。
ここは山の中、もしも私がマムシに噛まれていたら、マムシの血清が手に入る病院にたどり着くまで、もしくは救急車が到着するまで体がもっていたかどうか分かりませんでした。下手をしたら命を落としていたかもしれません。
柴犬のAちゃんは、たびたび後ろを振り返りながら、車へ向かいます。
そして、だんだん息が荒くなり、ハッハッと苦しそうな息遣いになってきました。
どんどん鼻の頭がはれ上がっていきます。私は、泣き出しそうになるのをこらえて、早く柴犬のAちゃんを病院へ連れて行かないとと思いました。
駐車場についたときには柴犬のAちゃんはぐったりして苦しそうな息づかいの音だけがしています。
車を早く出して、父に近くに病院がないか探してほしいとお願いしました。母がどこかに電話をかけていました。すると、目の前に小さな病院がでてきました。何科の病院だったかは忘れましたが、人間の病院でした。そこが休日だったのですが、家が隣に会って、そこをピンポンピンポン何度も押して、やっとでてきてくれ、犬がマムシに噛まれてということを説明したら、人間なら血清をうてるけど犬の治療は無理ですと、断られました。そこをなんとかとお願いしましたが、犬は免疫があるからほっといても死なないから大丈夫の一点張りで血清をうってはくれませんでした。
私は、少しでも楽になるようにしてあげたかったのですが、そうはいかないようで腹立たしいような、泣きたいような複雑な気持ちになりました。家の近くにつき、かかりつけの動物病院に電話をしても同じ対応でした。
Aちゃんがしんどそうなのは私のせいだ。私の身代わりをしてくれているんだ。ごめんなさい!ごめんなさい!!と何度も謝りました。
Aちゃんの頭をなんどもなでて、冷たい氷水で冷やして寝ずの看病をしました。すると次の日には少ししんどそうですが、落ち着いた様子になってきました。鼻の頭は相変わらず腫れあがっていましたが、息づかいはましになり、3日経つと目じりを下げて、しっぽを振ってくれるようになりました。鼻の頭の腫れはなかなか引かなかったのを覚えています。元気になった後も噛まれた傷跡が毛がはがれてきっちりと残ってしまいました。後日、お寺さんでこの話をすると、守ってもらっているねと言われました。
のちにこの愛犬Aちゃんが私が老犬になって目が見えず、ボケて夜中に遠吠えをしたり、うんちやおしっこを漏らしたりしましたが、しっかり介護をして面倒を見て恩返しをしました。
私が大学生の頃、ある霊視できる方に私の守護霊が観音菩薩様か不動明王様の気質に似た方がいつも守ってくれているということと、やはり、柴犬のAちゃんが身代わりになって守ってくれたということも教えていただきました。Aちゃんは亡くなった後もたまに遊びに出てくるので、ふとこのお寺であったことを思い出し調べてみると、このお寺のご本尊に祭られているのが十一面観音菩薩様と脇侍の不動明王様ではありませんか。
御縁はこの時からあったでしょうか。たまたま、このお寺で、起こったことだったから助かったのか。
今思えば何かが宿ったような柴犬Aちゃんの行動も不思議ですし、みんなが言っていた犬には免疫があるから死なないというのも絶対的ではなくて、毒量によっては死ぬこともあるんだということを知り、柴犬Aちゃんも菩薩様や不動明王様に守られていたことを気づかされました。
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