息子を助けたじいじの助言
投稿者:cocoro (16)
右側に深さが4m近くあるブロック塀で整備された川土手、左手の崖の下には広い駐車場、その先には小さな鳥居と中に小さな祠が祭られており、坂をまっすぐ行って少し左の突き当りには茶色い物置小屋があり、道はT字に分かれ、左は、あぜ道で奥には公園と保育所につながる細い道、右は深い川土手をわたるガードレールがついた橋がかかり、車も通れるような広い道でいつもこちら側を通ってみんなは行き来していました。
もちろん、普通のガードレールが坂道の両脇にも取り付けられていました。
今日も右に曲がるコースでいっせいにスタートしました。
『位置について~!よ~い、ドン!!』
スタートしました!
息子も頑張ってこぎました。息子は後ろの方からスタートしました。ブレーキなんてかけている暇はありません。
ノンブレーキです。下り坂なのでどんどんスピードは上がっていきます。
T字路にさしかかり、息子は曲がるためにブレーキをかけようとしました、でも、うまくいつものようにかからず、ハンドルをとられて、右に左にゆれました。
あれ?おかしいっ!!!ぎゅっ、ぎゅっ、きーっ!両腕と肩、両足、全身がこわばります。
皆についていくには右に曲がらなければいけません。でもここで、ふと、じいちゃんの言葉が頭をかすめました。
右に曲がるな、左に曲がれという言葉を。
とっさに左にハンドルをきったと同時に、タイヤが滑り、車体も横滑りしながら、自転車ごと目の前の茶色い物置小屋に激突して止まりました。
体にものすごい衝撃と傷みがはしりましたが、頭にはヘルメットをかぶっていたため、頭にはケガもせず自転車の両タイヤが体より先に小屋に当たったこともあり、クッションになったようで、打撲と手足の擦り傷程度で済みました。
すごい音がしてぶち当たったその後に、右側から自動車が曲がってきました。
もし、あの時右に曲がっていたら、車にひかれていたか、もしくは、橋のガードレールを乗り越えて飛び、4mの川底に落ちて大けが、下手をしたら命を落としていたかもしれません。
じいじに買ってもらった自転車は、行きはパンクしていなかったけれど、タイヤが遊んでいるうちにパンクをしていて、それでブレーキが思うようにきかなかったようでした。
ハンドルは歪み、サドルは変な方向を向き、ホイールは歪んでしまって使い物にならなくなっていました。
自動車に乗っていた人も二人がびっくりしておりてきて、大丈夫かとケガの具合を確認しながら起こしてくれたそうです。
起こしてくれた人にお礼を言いながら、
あっぶねえ。。。。じいちゃんの言うとったのはこれやったんやな。。。じいちゃんありがとう。じいちゃんごめん。じいちゃんがかってくれた自転車ぼろになってもた。帰って直してもらわなな~等と思っていると、びっくりした友だちもみんな慌てて駆け寄ってきて、
『心配そうにだいじょうぶか?』
『どないしたんや?』などと声をかけてくれ、大人がいたこともあり、息子は少しは安心し、
『大丈夫。』というと、みんなもほっとしたのか
『おまえ、飛んだなあ!』
『飛んだ飛んだ!』
『危なかったなあ!』
『右いっとったら引かれとるぞ』
『ほんまや!ほんまや!』
『小屋あってよかったな!これ作った人に感謝やな!』と皆が口々にゆって、笑い出す子もいる始末。
息子も恥ずかしさと笑い声で、心配と傷みも吹き飛び、思わず、笑ってしまったそうです。
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