追いかけられる夢
投稿者:八尺マン (46)
「なあ、母さん。そろそろ、いい加減にしてくれよ。俺だって余裕あるわけじゃないんだから、自立してもらわないと。仕事決まらないってホントにちゃんと探してるか? 選ばなければあるはずだぜ」
俺がそう言うと、母親は黙ってしまった
いつもこの流れだ
こうなると俺もあまり強く言えなくなる
母親はその日、そのまま帰ってしまった
あまりよくない状況だ
しかし、どうしようもない
それからも追いかけられる夢は続いていた
相変わらず誰が追いかけてくるかは不明のままだ
母親は来なくなった
何か嫌な予感がした
そんな時、父さんから電話がきた
母親のことだった
俺は毎日のようにお金を借りたいと言っていたが、最近は来ないことを話した
すると、父さんは、深いため息をして言った
「気を付けてくれ。母さんはお金のことになると、おかしくなってしまうんだ。前にも一度あったんだ。お前が子供の時だったんだが、その頃、父さんの会社が潰れてお金に困っていたんだが・・・」
そこまで言って、父さんは無言になった
「いや、何でもない。今現在の話をしよう。どうやら母さんは借金をしているらしい。どうも変な投資話に騙されたらしくてな。離婚したのもそれが原因なんだ。とにかく、母さんとはもう話さなくていい。居留守を使え。母さんは俺がなんとかするから」
そう言って電話が切れた
なんだ?
俺が子供の時、なんだっていうのだろう
俺の子供の時に、母親に何か変なことがあっただろうか
ここまで考えて、急にあの夢の光景が浮かんできた
小さな遊園地
俺の子供の頃に、よく母親に連れて行ってくれた場所だ
俺はそこで追いかけられている
走っても、走っても追いかけてきて
必死で逃げるけど
途中で転んで
追いつかれて
首に手をかけられて
目の前に顔がある
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