恐ろしい絵

それから、友恵とは連絡がつかなくなりました。
何度電話してもつながらないし、メールも返ってこなくなったのです。
何となく胸騒ぎを感じた私は、最後に友恵と会ってから3ヶ月後、久しぶりに友恵の実家へ行きました。
おぼろげな記憶を辿って友恵の実家についたのですが、そこはあの頃の様子とは明らかに違っていたのです。
いつから人が住んでいないのか、庭は荒れ、外壁には蔦が茂り、窓は割れているようでした。
呆然と家を眺めていると、後ろから「あなた、○○さん（友恵の名字）のお宅に何か用事でもあるんですか？」と、声をかけられました。
振り向くと年配の女性が不審そうに私を眺めていたので、「ここって○○さん（友恵の名字）ですよね？私、この家の友恵ちゃんと友達で…。友恵ちゃんに会いに来たんですが…」と返すと、女性は「あら、友恵ちゃんの。○○さんご家族はもう5年前に居なくなって、この状態のままですよ」と言われました。
女性が言うには友恵家族は5年前にいきなりいなくなり、近所では「借金苦で夜逃げしたんじゃないか」と囁かれていたそうです。

それ以来、友恵の実家は手つかずの状態のようでした。

女性の話しを聞いて衝撃を受け、そのあとはどうやって自分の家まで帰ったのか覚えていません。
5年前に友恵家族がいなくなったのなら、私が会った友恵は一体誰だったのでしょうか。
それに、あの家の荒れ具合は5年以上、10年20年くらい経っていないとああはならないんじゃないかと思います。
私が30代半ばになった今でも、友恵とは連絡がつきません。
先日、久しぶりに友恵の実家を訪れたのですが、家があった場所は更地になっていました。
友恵はどこへ行ったのでしょうか、友恵のお父さんとお母さんはどうなったのでしょう。
そして、あの描かれた人物の様子が変わっていく恐ろしい絵は、一体どこへ行ってしまったのでしょうか。