公衆電話のおばあちゃん
投稿者:ぴ (414)
私の話をうんうんと聞いてくれる姿は、まるでうちのおばあちゃんのように優しかったです。
その間すごく辺りが静かで、すぐ前が道路とは思えないくらい車が通らなかったです。
でもそんな違和感に小学生の私は気づけませんでした。
そしてわんわん泣きながら喧嘩の顛末を話した私に知らないおばあちゃんは「飴ちゃんあげる」巾着から出したイチゴ飴をくれ、元気づけてくれたのです。
しばらくおばあちゃんと一緒に公衆電話の前で話をしました。
おばあちゃんはどうやらこの近くの家の人で、私を見つけて心配になったらしかったです。
「もうお父さんもお母さんも怒ってないから家に帰ろうか」と説得されて、私はおばあちゃんと手を繋いで家に帰ることにしたのです。
周りが真っ暗なので、怖くて一人だったら家に帰るなんて気持ちにはならなかったはずです。
きっとあのまま一人だったら朝まで公衆電話の中にいることになったと思います。
だけど、飴をくれた優しげなおばあちゃんのおかげで、私は二人で夜道を家に帰ることにしたのです。
田舎なので夜道には街灯が少なく、そこらへんすべて真っ暗でした。車通りも少ないのでより真っ暗です。
でもおばあちゃんと一緒に歩くと、懐中電灯を持っているわけでもないのに、なぜか周りがぽぅっと薄ぼんやりと明るくなりました。
私はそれが不思議で面白くて仕方なかったです。帰り道におばあちゃんとは家族の話をしました。
私には父と母と姉がいるという話をおばあちゃんはにこにこして聞いてくれました。
白髪頭でふわふわした髪と優しそうな笑顔が印象的。私のおばあちゃんくらいの年齢で、私は初めて会った知らない人なのに、そうとは思えない安心感を抱いてしまいました。
そのおばあちゃんと話しながら歩いていたら、ふとおばあちゃんが顔をあげて「あ、セイジが来たね」と言ったのです。
何のことか分からなくて困っていた私に急にすごい光が見えました。
そしてその光が私の目の前に止まったのです。
止まったのは車で、祖父のトラックでした。
どうやら母に頼まれてずっと私を探してくれていたらしいです。
やっと見つけて、怒るよりも安心して喜ばれました。
私はそこでおばあちゃんを紹介しようと思ったのです。
さきほどまで私の手を握って送ってくれていたおばあちゃんのほうを見上げたら、そこには誰もいませんでした。
「あれ?」と言いながら私はその後、しばらくその近くを探したけど、まるでおばあちゃんは最初からそこにいなかったように消えてしまったのです。
こうして私は無事に家に帰ることができました。
でも小学生が一人で夜道を歩くなんて危ないとしこたま両親に叱られました。
私がおばあちゃんと二人だというと変な顔をされました。
公衆電話から夜道を家まで送ってくれたおばあちゃんの話をしたら、家族にはすごく不思議がられました。
実はあの日おばあちゃんに出会ったのが嘘ではない証拠があります。
それはおじいちゃんが私を見つけたとき、まだ口には公衆電話のおばあちゃんからもらったイチゴ飴が口に入っていたのです。
いい話です。ひいおばあさんが、守ってくれたんですね。ご先祖から、いい家庭であったのでしょう。
良いお話でした。ありがとうございます。