サウナ

親戚のおじさんから聞いた話

そのおじさんはサウナが好きで、よく近所の24時間営業の温泉施設に通っていた

ある日、仕事の帰りにいつも通りに温泉施設に行って、サウナ室に入った

サウナ室にはすでに数人の客が入っていた
おじさんはいつも先に入っている客が全員出るまでは我慢してサウナ室から出ないというのを習慣にしていた
まあ、あるあるな話だ
先に入っている奴がまだ出てないのに出ると、なんか負けた気分になるよな

で、先に入っていた人たちは時間が経つに連れ、どんどん出て行ったのだけど、サウナ室の一番端に座っている一人だけなかなか出ていかない
白髪のおじいさんなんだけど、腕組みして、目をつぶって動かない

おじさんは限界まで頑張ってみたんだけど、いよいよ我慢できなくなって、悔しさを感じながらもサウナ室を出た

それからしばらく涼しいところで休んで、もう一度サウナ室に入るとそのおじいさんがまだいる

途中で出て、また入ったのか？
いや、このおじいさんが出てきたのは確認できなかった
この施設はそこまで広くない
出てきたならわかるはずだ

まさか、ずっとサウナ室にいるのか？

おじさんは気になり、そのおじいさんに声を掛けてみることにした
しかし、返事がない
寝ているのだろうか

おじさんは軽くそのおじいさんの肩を叩いた

すると、そのおじいさんの体勢が崩れ、その場に倒れこんでしまった

そこからが大変だった
おじさんはすぐに施設の人に知らせ、施設の人が救急車を呼んだのだけど、そのおじいさんはすでに亡くなっていたらしい
すぐに警察がやってきて、おじさんはかなり長いこと取り調べを受けたという

ここまでなら災難な話で済むのだが、奇妙な点があった
なんとそのおじいさん、検死の結果、死後10日は経っていたというのだ

最初、他の場所から遺体が運び込まれたのではと思われたが、監視カメラを確認しても、それらしき様子は確認することはできなかった

おじいさんはサウナ室で座った状態で亡くなって、10日間、そのままだったというのだろうか
実際、他の常連客に聞いてみたところ、ここ数日、そのおじいさんを見たという人は大勢いて、皆、サウナ室の一番端に座っていたと証言していた

しかし、施設の人間に聞いたところ、この施設のサウナ室は数時間置きに必ず室内清掃があり、その時にはお客様は全員外に出てもらっているという
ずっと座ったままのお客を放置することはありえないとのことだった

おじいさんは死にながら動いていたのだろうか