誰も知らない祖父

「あれは、やっぱり祖父の名前出したからかな…。」という友人に、
私は「うん…。わからない。」としか言えませんでした。

結局友人の祖父の正体がわからぬまま。
謎に包まれたままの友人の祖父。
村中が口を塞ぐ訳とは一体なんなのか。
あれから10年ほど経ち、私が地元に帰った際に、たまたま友人に会ったときに、友人とその話になり、祖父のことは、どうなったかと聞いてみると、やはりわからないままだそうです。

「知らずに不自由なことがある訳でもないし、知らないなら知らないままで、いいと今は思っている」と言っていました。

私は、下手に知らない村へ行くべきではないと思っています。
村人の結束って強いようにも感じています。
自分の祖父が何をしている人なのか、わからないその血が自分にも流れているということって、怖くも感じてしまうんだろうなと思います。
でも友人は、とても優しい女性なので、きっと悪い血は流れていないはず。
そう友人も私も思っています。