私も一緒に連れていけ
投稿者:足が太い (69)
膝に手を当てて、荒い息を繰り返している私達を、お化け屋敷のスタッフらしき生徒達は不思議そうに見ていました。
思ったよりも注目を集めていて恥ずかしくなったので、アリサを急かしてそこから離れました。
お化け屋敷が併設された教室から出て、一般公開されている食堂まで行き、席についてやっと人心地つけました。
あの女性は一体何者だったんだろう、どうしてお化け屋敷から出られなかったんだろう。
アリサと話し合ったのですが、結局その日は答えは出ず、他を見て回る気力もないということからその日はそれでお開きとなったのです。
数日後、アリサから電話がかかってきました。
「もしもし、あの文化祭のお化け屋敷のことなんだけど」
「お化け屋敷…?ああ、あれかぁ。怖かったからあまり思い出したくないんだけど…どうしたの?」
「友達の姉が、あの大学に通ってるらしいから、そのお姉さんにお化け屋敷の話しをしたんだけど…。あの時にいた女の人、数十年前に亡くなった人らしいの」
アリサが言うには、数十年前にもお化け屋敷の催し物をしたようですが、その時に不慮の事故で1人の女子生徒が亡くなったようなのです。
それからというもの、お化け屋敷の催し物をすると、色々な怪現象が起きるので、「お化け屋敷は絶対にやらない」という暗黙のルールが出来ました。
しかし、好奇心旺盛で怖い者知らずな生徒が、「お化け屋敷に本物の幽霊が出るなんて面白い」という不謹慎な理由から、今回、禁止されていたはずのお化け屋敷が開催されたようでした。
アリサが聞いたところによると、私達以外にも「お化け屋敷から出られず数時間彷徨った」「知らない女性が一緒についていきたいと言ってきて、気づいたら消えていた」などの心霊体験に遭ったお客さんは数名いるようでした。
ここからは私の予想ですが、きっとあの女性は、お化け屋敷に閉じ込められたまま出られなくなってしまったのでしょう。
だから生きている人を道連れにしようとしているのか、それとも生きている人に憑いていけば外に出られると思っているのかもしれません。
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