真夜中の案内人
投稿者:Kellogg (5)
短編
2022/06/13
00:41
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家族で親戚の家を訪れた帰り道でそれは起きた。
時間は夜の10時過ぎ。父が運転する車に乗りながら、暗い外を眺めていると、
「あれ?道に迷った」
父はそう言った。普段、父が道に迷うことは滅多にない。しかし、この日は時間が遅くなったため、できるだけ早く帰宅するため、慣れない道を通っていたのだ。その道は山道で非常に暗く、子どもの私には薄気味悪かった。
しばらくウロウロと走っていると、人がいるのが見えた。50代くらいの女性だっただろうか。父はその人に、大通りに出る道を尋ねた。
すると、女性はニッコリと微笑み、前方にある道を指差したのだ。女性にお礼を告げると、父は再び車を走らせていく。
しばらく経ち、教えてもらった道をずっと進んでいたが一向に大通りには出ない。それどころか、どんどん山道を登っていく感覚だ。
ようやく開けた道に出たかと思えば、そこはだいぶ高い場所にある道だった。しかも、そのまま進んでいくと先は崖。もしもスピードを出していたら…。家族全員血の気が引いた。あの女性が一体何者だったのか今となってはわからないが、もしかしたら、向こうの世界への案内人だったのかもしれない。今思うと、ひどく不気味な微笑みだった。
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