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心霊

京東京さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

”つかれるほど”遊んだ日
長編 2022/06/12 23:14 2,762view

私は思春期のころから不思議な体験をすることが多い。

最初に金縛りにあったのは中学2年生の土曜日の夜のことだった。
昼間同級生と思いっきり遊んで疲れた日の夜、金縛りになり焦る私。体が動かないだけでも恐怖なのに、ベッドに眠る私の横で白いもやもやした「ひとがた」の何かが私をずっと覗き込んでいたのだ。じーっと見られているようで怖かった。そして、その白い「ひとがた」はしばらくすると私のベッドの横から廊下へと続くドアへと歩いていった。ドアを開け、そのまま消えていったかと思うと、急に身体が動いた。

金縛りから覚めたのである。震える心を抑え、外に出て行った何かを追いかけ、廊下を覗き込む。
人の気配はない。部屋の扉を閉め、ベットに座り、真っ白な頭で考える。
もしかしたら夢でうなされていた私の様子を母が見に来てくれたのかも知れない。明日の朝聞いてみようと思った。

今でこそ金縛りというのは、脳が起きていて身体が寝ているので、意識はあるけれど身体が動かないということは分かっている。だけれど人生最初の金縛りなので霊体験かと思った。白い「ひとがた」も、金縛りにあったという意識から、脳が生み出した幻覚かも知れない。

次の日の朝、母に昨夜私の部屋に来たかと尋ねたが、母はずっと寝ていたとのこと。ここで私は一つの恐怖に気付いた。
私は寝る時は、必ず部屋の扉は締めるようにしている。どうしても、部屋の扉が開いていると、無防備な気がして寝付けないのだ。そして私の部屋の扉は割としっかりしていて、ノブを回さないと開かないタイプのものだった。

金縛りの中の意識で、あの「ひとがた」はドアを開けて、部屋から出て行った。

目覚めた私もそのまま開いたドアから廊下を覗き込んだ。
母が来ていないというのならば、ドアを開けたのは、誰なのだろうか。

その日からしばらく悩み、金縛りについて調べ、わざと日中疲れるほど遊びまわってみることにした。もしかしたら金縛りをまた経験して、あの「ひとがた」と出会えるかも知れないと思ったのだ。恐怖の中で、本能的に何故かあの白い「ひとがた」の正体を突き止めたいと思った。
結果として、何度か金縛りにはあった。でも、あの白い人型を見ることはなかった。

そんなことも忘れて、中学から高校へと進学し、その後18歳で高校を卒業し、私は上京して、一人暮らしをすることになった。
ひとり暮らしのわくわく、夜も遅くまで起きていていいし、自由を実感した。

そんなある日の事、朝まで疲れるほど友人と外で遊んで、家に帰りシャワーだけ浴びてすぐにお昼から横になった。
忘れていた金縛り。

私は、壁際に布団を敷き、壁に枕がフィットするように寝ていた。
その時に私の首から肩あたりを、さながらデコルテのマッサージをするように、白い手が触る。軽く首を絞めたかと思うと、また肩あたりをいったりきたり。
あの、白い「ひとがた」の手だろうか。実家から、一人暮らしをする私を追ってきたのだろうか。

と考えていたところで金縛りから覚めた。
起きて、周りを見てみたけれどやっぱり誰もいない。
寝ているポジションから考えたら、あの位置の私の首や肩をなぞるには、壁から手が生えていたことになる。
夢なのか、幻覚なのか、分からないまま、少し開いていた部屋の引き戸に気付く。
やっぱり少しだけ、現実なんじゃないだろうかという形跡と謎が残る。

また数年の月日が流れ、引っ越しもした。
都会では、出会いが多く、ふとしたことから付き合い始めた恋人と同棲することになった。

ある日、私も恋人も不在の時に下の階の住人から「真上から足音がドンドンする」というクレームが不動産会社に入った。その際に私が外出していることを伝えると、不動産会社は不思議がり、下の階の住人は気味悪がってしまった。私は別の部屋の足音が聞こえたんじゃないかと軽く考えていた。

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