助かった……助かったんだ……。
しかし次の瞬間。
「うわああああっ!!」
階下から男の断末魔の様な叫び声が挙がった。
もしかして……さっき入れ違いになった男……。
再び恐怖が体を蝕み、俺はもうその場から一歩も動けなくなってしまっていた。
やがて、呆然と座り込む俺のスマホに着信が鳴った。
友人からだ。
「はい……」
力無く通話口に返事を返す。
「もしもし?さっきの悲鳴、お前じゃないんだな?」
友人がそう聞いてきたので、俺は消え入りそうな声で返事を返した。
「ああ……」
「そうか……今警察に連絡したから……いいか?階段を使え……分かったな?」
「ああ……」
そう言うと俺は通話を切り、フラフラとした足取りで階段の方へ向かった。
あれ以来、友人とは一度も連絡を取っていない。
後にニュースで知った事だが、あの日マンションの入口で男の遺体が発見されたそうだ。
心臓発作……一応そういう事になっているらしい……。
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わざわざ嘘ついて怖い思いをさせた友人はひどいと思いました(こなみ)
久々に鳥肌立った…