一夜で消えた空き家
投稿者:湊 (22)
短編
2022/06/04
01:19
1,170view
我が家の近くに長年空き家になっている家があります。ボロボロで隙間だらけなので、時々、浮浪者が入り込んでいることもありました。持ち主が亡くなってしまったらしく、そのまま放置されているというわけです。そこにはいろいろな逸話があります。夜になるとうめき声が聴こえてくる、入ったら二度と出てこられないなどの怪談話です。
ある時、塾帰りの子どもが空き家の前を通ったら電気がついていたと言っていました。電気が通っているわけはありません。また浮浪者が入り込んでいるのかもしれないと思い、夫が帰ってきてから子どもを寝かしつけ、私一人で懐中電灯を持って見に行ってみることにしたのです。ちなみに、夫は怖がりなのでついて来ませんでした。
何度も通ったことのある空き家です。場所はしっかり分かっています。それなのに、私が見に行ったらそこには空き家がありませんでした。影も形も失くなっていたのです。すぐに帰って夫にも来てもらうことにしました。夫もビックリしていたのですが、夫が通勤で帰宅する際、空き家はあったということです。子どもが見た時から私が見に行った時までの数時間の間で一体何があったのか、後で近所にも言ってみましたが、誰も真相を知っている人はいませんでした。
結局空き家は消えたままです。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 16票
こういうの好きです。面白かったです。