作り話
投稿者:とくのしん (65)
と、同時に男は5人に向かって走って迫ってきた。
そのときのことをMは、まるでスローモーションのように感じたという。
男が目を見開き、凄い形相で迫ってきた。散り散りにバラけて階段を目指す5人。
運よくMが逃げた方向に男は迫ってきておらず、すんなり階段まで辿りつけた。
が、すり抜け様にAが捕まったのが見えたそうだ。
階段を下りる際に振り替えるとAは腕を掴まれ、必死に抵抗していたそうだ。
4人は階段を転げ落ちるように駆け下り、廃屋から逃げ出した。
「うわああああああ!助けて!」
と廃屋の2階から叫び声が聞こえた。
どうすることもできない4人は学校に戻り、助けを呼ぶことにした。
雑木林を抜けたあたりで近所の人に遭遇したため、Mが一人残り事情を説明して助けを求めた。残り3人は急ぎ学校へ向かった。
3人が事情を話すと男性教員数人がすぐに向かった。
教師たちが慌てふためいて飛び出していくものだから、放課後残っていた生徒が只事ではないと騒ぎになった。
挙句、パトカー数台がサイレンを鳴らしながら学校横を抜けて雑木林に向かっていったものだから、田舎の小学生からしたら盆と正月が一緒にきた騒ぎになったそうだ。
次の日、Aは学校に来なかった。
次の日も、その次の日も・・・
Aは殺されて埋められてしまったという類の噂が飛び交ったが、実際はAは引っ越ししてしまったそうだ。
4人の話を聞いたクラスメイトはAを嘘つき呼ばわりしたことを後悔したそうだ。
とりわけ最初に嘘つき呼ばわりした女子や、嗾けたOは周りからの責めもあってかなり肩身の狭い存在になった。
それから中学・高校となってAの存在も忘れていったころ、成人式で集まったときにAの話になったそうだ。
当事者の一人、Mがそのあとの話を後日談として付け加えた。
「当時、誰にも言うなと言われたことだけど、もう時効だと思うから言うな」
と前置きして話し始めた。
4人で廃屋から逃げ出したあと、Mは偶然遭遇した近所のおっさんに事情を説明すると、おっさんはすぐに警察を呼んでくれたらしい。
Aが殺されちゃうとMが泣きながらいうと、おっさんは隣近所に声をかけて助けに向かってくれた。2人おっさんが加わって総勢3人のおっさんがついてきてくれることになった。
Mが道案内をしておっさん連中を引き連れていると、学校の先生たちも追いついて合流。雑木林を進み廃屋につくとAの声はせず、静けさだけがそこにはあった。
おっさんと教師数人が廃屋中に入っていく。
しばらくすると教師の一人が出てきて「Aはいない」と告げた。
外に待機していたMやおっさん、教師たちでAの名前を呼びながら捜索を始める。
捜索を始めてすぐにパトカー2台が到着した。
埼玉のあそこのことかな
面白かったです
うん
あそこだね。今は骨組みだけらしいよ
ゾクゾクした。
久しぶりに怖い話見れて満足した。