人生で一番最悪の日
投稿者:ぴ (414)
長編
2022/05/26
17:54
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目の前のコップの水を飲もうとして、私は自分の目を疑いました。
そのコップの水の中に小さな何かが浮いているように見えて、目を凝らしたのです。
次の瞬間には「きゃああああ」と悲鳴が出ました。
だって水の中にミニチュア人形みたいなサイズの人の手足が浮いているみたいに見えたのです。
思わずそのコップを落としてしまって、中の水をこぼしてしまいました。
ガタガタするくらいに体が震え、しばらく布団の中に隠れて、動けませんでした。
ただ1日聞こえていたあの悲鳴と咀嚼音がいつまで経っても聞こえてこなくて、おそるおそる起き上がることができたのです。
一日を振り返ってこれほど恐怖を感じた日はなかったです。
そして聞こえなくなった叫び声に心から安堵しました。
今思い出しても、この一日が一番長く感じた人生で最悪の日でした。
あのあと、水がカーペットにこぼれた辺りを徹底的に探しましたが、あの日確かに見たはずのミニチュアの手足らしきものは見つかりませんでした。
このような不可思議なことに遭遇したのは後にも先のもこの日だけ。
私は今でもあの日のことで夢で魘されることがあります。
私はその日一日だけのことで、本当に良かったと思います。
もしあれが毎日続いていたとしたら、まともに生きられるのだろうかと今も非常に恐怖を感じるのです。
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