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呪い・祟り

足が太いさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

怪しいチェーンメール
長編 2022/05/11 21:40 4,003view
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私が中学生~高校生の頃、その頃は今とは違ってEメールが主流で、その為か、チェーンメールが流行っていた時期がありました。
私のところにも、何人かの友人から時々チェーンメールが送られてきていたのです。
私はチェーンメールを誰かに送ることはなかったので、いつも私のところで流れてきたチェーンメールは止まっていました。

ある時、よく見かけるような内容とは違ったチェーンメールが届きました。
送り主の名前も、「szじょえj津jp」といったように、文字化けしているみたいな表記で誰なのか全く読めません。
一体誰からなんだろうと不思議に思い、メールの文面を読んでみると、そこにはこのようなことが書いてあったのです。

「来週の○月○日の日曜日、深夜2時に○○墓地に行かなければ、お前は呪われる」

○○墓地とは、学校でチラッと噂になったことがある心霊スポットです。
何でも、その墓地にある大きな杉の木に藁人形を打ち付ける人が相次いだらしく、そのせいで杉の木は切り倒されてしまいました。
しかし、杉の木はもうないのに、深夜にその墓地へ行くと、カーンカーンという釘を打ち付ける音が聞こえるのだそうです。

私は最初、「こんなの誰かの悪戯だ」と思い、メールをすぐ削除して無視していたんです。
でも、次の日学校へ行くと、クラスメイトから「昨日変なチェーンメールが届いた」「来週あの墓地に行かないと呪われるって」「どうする?行く?」と、誘われたのです。

どうやら私以外にも同じチェーンメールを受け取った人は多数いたようで、皆、若干パニック状態になっていました。
騒いでいると担任が教室に来て、「静かにするように」と、皆を宥めます。

そして、「他のクラスや他学年の生徒にもおかしなチェーンメールが届いたようだけど、あんなのは悪戯だから実際にあの墓地に行かないように」と、注意をされました。

それでクラスのパニックは落ち着いたものの、放課後に友人Aから「ねぇ、来週あの墓地に確かめに行かない?」と誘われたのです。
Aはチェーンメールの内容をとくに信じていないようですが、前々から存在しないはずの木に五寸釘を打ち付ける音が聞こえるという階談については気になっていて、一度確かめに行ってみたかったそうなのです。
私は最初、「そんな夜中に家を出られない」と、断りましたが、結局断り切れず、Aと2人でチェーンメールの日時にあの墓地へ行くことになりました。

当日、家族が寝静まったのを確認して、1人でそっと家を出ました。
そして自転車で5分のところにある例の墓地へ行くと、既にAが到着していて、墓地の入口に立ってこちらに手を振っています。

自転車を墓地の入り口前に停めて、「早かったね」と言うと、Aはそれには答えずいきなり「さっきBを見かけたよ」と言いました。
Bは隣のクラスの女子生徒で、あまり話したことはありませんが、噂ではAのように肝試しや怪談が好きな子のようです。
Bはチェーンメールの真相が気になって1人で墓地までやってきたのでしょう。
1人きりでなんて勇気があるなぁと思いながら、Aと一緒に墓地の中へ入りました。

Aが言うには、Bは以前あった大きな杉の木に向かって一直線に歩いていったようで、「私達もそこに行ってみよう」と言われました。
墓地は割と広く、杉の木は入口から歩いて数分かかる、一番奥にありました。

ひそひそ喋りながら歩いていると、それまで静かだったのに、急にカーン、カーンという何かを打ち付ける音が聞こえてきたのです。
Aと顔を見合わせ、どちらともなく立ち止まりました。

そして、さっきよりも足音を忍ばせて杉の木があった場所へ行くと、そこには無いはずの大きな杉の木があり、Bが一心不乱にその杉の木へ何かを打ち付けていたのです。
よく見ると、Bは右手に金づちを持ち、左手に持った藁人形に五寸釘を打ち付けているところでした。

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