僕の地獄と彼女の地獄
投稿者:sammy (1)
それからはさらに理解が追い付かなかった。
たった数ヶ月会わなかっただけで、めっきり老け込んでしまっている父と母
若々しかった兄には無かったはずの白髪があり、叔父の顔にはいくつもの皺が刻まれていた。
声にならずに泣き崩れる祖母、良かった…かった…と泣きながら僕を抱きしめる母。
母や祖母に限らず、集まった親族はみな同じように涙を流していたが、窓に映った見覚えのないガリガリの男が自分だと認識したとき
愕然とした気持ちが、驚きや恐怖を吹き飛ばした。
それはまるで生気のない老人の顔だった。
そして僕は、入院して6年の歳月が流れていることを知らされた。
それからの数日は目まぐるしかった。
毎日行われる様々な検査、僕を一目見ようと病室を訪れるたくさんの医師や看護師たち。
友人たちの来訪がひと段落ついた頃、二人の見知らぬ男たちが病室を訪れた。
訝しがる僕に二人は手帳を提示し、6年前に僕の身に起きた事件を担当した刑事だと名乗った。
この刑事たちの説明は、やっと落ち着きを取り戻しかけていた僕にとって、とても衝撃的なものだった。
凡その説明はこのようなものだった。
その日、彼女と同棲を初めて1年ほど経った頃、僕は意を決してプロポーズをした。
彼女は涙を流してそれを受け入れ、このままではいけないと、その日のうちに過去の清算を済ませようとしたのだった。
同棲前から浮気をしていた彼女は、相手に連絡を取り、約2年に及ぶ相手との関係の解消を、婚約を理由に持ち掛けた。
相手の男は、遊びのはずだった彼女に対していつの間にか執着し、婚約を阻止するため彼氏である僕にすべてを話し、婚約を破棄させてやると脅した。
僕がそれを知ることになれば全てが終わると焦った彼女は、なんとか男の説得を試みようと僕が眠りにつくのを待って男に呼び出されるままにそっと部屋を抜け出した。
深夜ということもあり、まず来客などありえないこと、鍵を閉める音で僕を起こさないために無施錠で外出したのだった。
彼女がアパートを出るのを確認したその隙に、男は僕と彼女が同棲するアパートの玄関から侵入し、寝室で一人眠る僕の上に跨り、胸や腹を複数回滅多刺しにした。
抵抗がなくなり、反応がなくなったのを確認して男はアパートを後にした。
素晴らしい❗
おいおいおい・・・
ためはち