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ヒトコワ

sammyさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

僕の地獄と彼女の地獄
長編 2022/05/01 00:33 13,146view
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見たこともない風景と乾いた空気に、そこが病室と認識するまでかなりの時間がかかった。

自分が病院のベッドの上にいると気付いて、直ぐにナースコールに手を伸ばす。

思うように動かない体よりも、伸ばした腕が枯れ枝のように細くなっていたことに目を疑った。

混乱する思考を必死に束ねて、叫びだしたい衝動を必死に抑えた。

返事のないナースコールを連打する僕の指はゴツゴツと骨ばって、まるで他人の指だった。

「…もしもし?」

十数回のコールで返ってきた看護師の声には、緊張と恐怖がはっきりと見て取れた。

「手が!僕の手が!!」

限界だった。

暗い部屋に独り、自分の体に起こっている尋常ならざる事態に動転し、僕はほとんど泣きながら叫んでいた。

そうすることでほんの少しだけ、現実から目を逸らしたり、問題を先送り出来るような気がしていた。

「××さん!?××さんですか!?

目を覚まされたんですか!?」

同じことを繰り返し叫ぶ僕に、僕と同じくらい動揺した看護師の女性は、

直ぐに行きますから!と叫んで若い男性の医師を同伴して、雷雨のような足音を鳴らしてやってきた。

どれくらいそうしていただろう…?

明かりの点いた部屋の中でパニックを起こしていた僕に、大丈夫…大丈夫だからね…

まるで赤ん坊をあやすように背中を摩る看護師の声が、意識に寄り添い、心地良さを感じ始めた頃

親や兄弟、その他の親族が真夜中の病室に集まっていた。

4/9
コメント(2)
  • 素晴らしい❗

    2022/05/01/07:33
  • おいおいおい・・・
    ためはち

    2022/12/31/07:36

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