双子の姉の秘密
投稿者:足が太い (69)
「わー!」「きゃあ!何なの!?」と、皆パニックになり、誰か倒したのかガシャンッ!というガラスのコップが割れるような音まで聞こえます。
真っ暗闇の中、手探りでスマホを取り出してライトをつけると、A子と酔っぱらいの男性がいたあたりに、何かが浮かんでいるのが見えました。
気になってそちらにスマホのライトを向けると、B子らしき人形が宙に浮いていたのです。
「ヒッ!」
びっくりして思わず悲鳴を上げると、B子らしき人形はそれに気づいたかのように、ぐるんと首を回して私の方を見ました。
慌ててスマホのライトを消して縮こまっていると、誰かがつけてくれたのか、会場内に再び照明がついて明るくなりました。
「びっくりしたね」と、近くにいた友人と言い合いながらふとA子と酔っぱらい男性がいた方に視線をやると、何やらそのあたりがざわざわしています。
やがて「救急車!」「大変だ、しっかりしろ!」という声が聞こえ、近づいてみるとそこにはあの酔っぱらい男性が仰向けになって倒れていました。
酔っぱらい男性は青を通り越して真っ白な顔色で、どんな恐ろしいものを見たのか、驚愕の表情で目も口も開ききっています。
A子に「どうしたの?」と恐る恐る訊ねると、「報いを受けた」としか答えてくれず、それ以上は怖くて聞くことが出来ませんでした。
酔っぱらいの男性が急に倒れたこともあり、2次会の空気はまるでお通夜の雰囲気になってしまいました。
それでもA子とA子新郎が気にした様子がなかったのが、何だか恐ろしかったです。
2次会が終わり、3次会を断って帰宅した翌日、結婚式に参加していた友人C子から電話がありました。
C子は3次会にも出席して、他の出席者にそれとなくB子について聞いてみたんだそうです。
すると、B子の従妹がこっそりと「A子家族には、A子の双子の姉であるB子がいたけれど、B子は病気で亡くなってしまった。それ以来、A子家族は、あの人形をB子のかわりとして扱っている」のだとか。
この従妹も、B子らしき人形が浮いているところをあの時見ていたようで、「A子家族にはもうあまり関わらない方がいい」と、忠告されたとC子は言っていました。
長年付き合いのあったA子に、あんな秘密があったなんて、思いもしませんでした。
それよりも、B子らしき人形が浮いていたことが今思い出しても本当に恐ろしいです。
A子とは結婚式の後もそこそこ付き合いがありますが、相変わらずB子が現実に存在しているかのように振る舞っています。
今度、A子夫婦の新居に遊びに行く約束をしているのですが、そこにB子らしき人形とその新郎らしき人形がいたらと思うと、体が震えてしまいます。
痛みいります。