死にたがりの生配信
投稿者:N (13)
男性の首が腕より後ろ側へ回ると、首の皮が引っ張った布のように突っ張り、完全に骨を砕く嫌な音がゴキッと繰り返す。
首が一周すると、首の皮膚は捻れたドレスの裾のように射線の皺を描き、首筋の辺りは皮膚が裂けたのか血が噴き出し泡立っている。
『すげえ、一周した』
『次俺もこれで死にたい』
視線が定まらない俺は漸く瞬きを繰り返しコメント欄を見やった。
どいつもこいつもこの惨状を前に、何故か称賛の声ばかりが上がり、あまつさえ、今しがた首を捻った男性に後続しようとの声明が書き込まれている事に驚愕した。
しかし、その理解の範疇を超えた文字の書き連ねが俺に冷静さを取り戻させる。
確かに画面越しの男性は首を捻じ切ったが、果たして人間にそんな芸当が可能だろうか。
首の骨が折れた段階で神経が遮断され首を捻じ切るなんて不可能なのでは。
俺はそう考えただけで何かのトリック、若しくはそういったフェイク動画なのだと察し、これはそういった趣味のコミュニティの集会場なのだと、宛ら粟立った心を静めるように納得した。
暫くコメントを見ていると、首を一周分ねじ回した男性が突然口を聞く。
「……えー、次は何がいいですかね。あー、これとかいいですね」
俺はあんぐりと口を開いたまま、至って普通に活動を続ける男性を見つめる。
男性は再びパソコンを操作しているのか画面へと近寄り、頭を支えていた手を離すが少し首から粘液のような液体が土嚢で抑え込んでいた濁流のように零れ始める。
そして、まだ辛うじて繋がっているのか、首がぐらつくと胴体から転がり落ちそうになり、男性は慌てて首を支える。
「えーと、次は……何周目で千切れるか挑戦します。えと、4番さんと一緒にしましょうかね。よろしくお願いします」
何を言ってるか分からないが、男性が4番という人物へ語り掛けると、コメント欄が動き、上部へ誰かが書き込んだ文章が浮上する。
『やったー!おねがいしまっす!』
コメント欄の横をよく見れば、この書き込みの投稿主の項目に番号が振られていた。
この書き込みの主が4番だという事がわかると、一息入れた男性が再び首を回し始める。
肉や筋が引きちぎれる音や、鶏肉を漬けるようなグチョっとした空気や粘りを含んだ音が同調し、さすがの俺も吐き気を催してきた。
三周目に突入すれ頃、ブチッと大きな音が鳴った。
それ以降男性は自分の首を支えたまま動かなくなり、引きちぎった断面からは滝の様な流血が溢れて来る。
『自分は5周目で千切れまし…た……』
そんな4番のコメントが浮上するが、俺は口許を押さえたままトイレに向かった。
今晩食べたものを全て出し切ったかもしれない。
いったい何だと言うんだ、あの配信は。
悪趣味すぎて気分が悪い。
いくら技術が進歩しているとしても、あの映像は精神的にくるものがある。
スプラッター映画顔負けのリアルな作りを思い出し、俺は再び吐き出した。
若干グロかったけど怖くて面白かったです
ちょっと気持ち悪いけど漫画で読みたい話
でもこれ「ヒトコワ」ではない気もする
これは吐いちゃう…
ヒトコワではなく、ある意味他のものなんじゃない?
2回くらい俺も自○配信見たことあるかもs