虹色のインコと長い廊下の先
投稿者:ぴ (414)
そしてやっと廊下に突き当りが見えてきて、夢の中の私はすごくほっとして安心したのでした。
しかし、突きあたりまできて、ぎょっとしました。
だって突き当りだと思って止まったら、右にまた長い廊下が伸びていたからです。
それには愕然としました。まるで迷路にみたいに、進んでも進んでも目的地にたどり着きません。
私は泣きそうになりながら、その廊下をまた突き進むのです。
朝起きて、私はとても疲れていました。
体が疲れているというようりも、心が疲弊している感じでした。
夢の続きを見ることって、そうそうあることではありません。
少なくても私は初めての体験でした。
なんで急にこんな夢を見るようになったのか不思議に思いましたが、ふとそういえばこのインコを預かってからだなと思い、朝しばらく綺麗なインコの逆立った毛を見つめてみました。
インコはじぃーっと見つめる私の視線を気にする様子もなく、悠々と止まり木で休んでいるようでした。
いよいよ三日目の夜になり、「明日はご主人様が迎えに来てくれるよ」とインコに話しかけました。
インコは今日も一切鳴かず、ツンとすましています。
そのすましている姿すら、インコの美しさに拍車をかけていて、私は「本当に綺麗なインコだな」と益々インコに魅了されました。
明日、親戚に返すのがちょっと勿体ないと思うくらいに、私はインコに魅入られていたような気がします。
その日の夢は、またいつもの廊下でした。
ただ一つ違うことが。それまでも何度か突き当りに辿り着いたと思ったら、また長い廊下が続いているのですが、その日は目の前に襖が見えたのです。
夢の中の私はやっと辿り着いたと心から安心しました。
襖に描かれていたのは見事なまでに美しい鳥で、私はその迫力ある姿にとても魅入ってしまいました。
しばらくぼーっと見とれてしまい、はっとして私は襖に手を掛けました。
その襖を開けると、とても美しい髪をした女性の後ろ姿がありました。
夢の中の私はその人に声をかけるのですが、声をかけてやっとその振り向く姿を見られると思ったときに、目が覚めてしまったのでした。
起きたときに自然に涙が出ていて、私はぎょっと驚きました。
何で泣いているのか訳が分からないし、さすがに3日も続けて同じ夢を見たのは、とても気味が悪かったです。
それと同時になんだか懐かしいようなそんな気持ちになっていて、それも不思議でした。
その日の朝はどうやらインコは珍しく巣箱にいるようで、私に姿を一切見せませんでした。
その日の夕方に親せきは私の家にやってきて、預かっていたインコを大切そうに持ち帰りました。
私は少し名残惜しく思いましたが、その日インコは私の前に一切姿を現さないまま、元の飼い主の元へと帰ってゆきました。
そしてその日は一切夢を見ることなく、久しぶりにぐっすり眠れたのです。
ただ、私はあの夢の続きを見れなかったことを残念に思いました。
何か言いようのない不気味さがある