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ヒトコワ

ぴさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

想定外のストーカーの犯人
長編 2022/03/24 11:47 6,566view
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こうなってしまうと女って本当に強いです。
守ってくれるものがなくなって、自分を助けてくれるのは自分だけしかいないと思ったら、行動的になれました。
そしてこのアドレスを持つ人物を特定するために動きました。

知り合いという知り合いにとにかく聞いてみて、誰のアドレスなのか知っている人がいれば教えてほしいと頼みました。
そして探し始めて数か月後にこのアドレスの犯人が特定されるのですが、私は信じられないと思いました。

このアドレスの持ち主を知っているのは、意外にも亡くなった彼の友人でした。
彼と飲み友達だった友人の一人が「え、知ってるよ」と軽い感じで、連絡をしてくれました。

そして相手を聞いて私は信じられないと思いました。
だってその友達はメアドが亡くなった彼氏のものだと言ったからです。
その人がいうには彼は携帯を二台所持していたらしく、今私に毎日メールを送ってくるのはその二台目のほうだと言われたのです。

私は怖くなりました。このストーカー行為のようなことをするメールアドレスが私をストーカーから守ってくれていた彼の携帯からというのも心底怖かったのですが、それ以上に怖いのが彼がもう亡くなっていることです。
彼はもうこの世にいないのに、どうやってメールをしているのかと考えると恐怖で体の芯から冷たくなっていく気がしました。

しばらく考えた末に、私は彼の実家の母親に会いに行きました。
彼とは結婚を視野に入れてお付き合いしていたので、彼の母親とは何度か面識がありました。
そしてストーカーのような内容のメールが届くということを伏せて、このメアドは彼のものなのかと確認してみたのです。

残念ながら彼の母親は二台目の携帯の存在は知らないと言いました。
どうやら家族にも教えていなかったようなのです。ただ彼が亡くなったあと携帯は解約したと言っていました。
そして代わりに彼が生前使っていた部屋に案内してくれて、私はそこでしばらく彼の母親と彼の思い出話をしたのでした。

しかし、私は内心彼の思い出を語るどころではなくなっていました。
理由は案内された彼の部屋に、見覚えのあるものがあったからなのです。

それは靴と帽子です。彼の部屋にちょこんと置かれていた靴と帽子に見覚えがあり、私は記憶を辿ってみました。
私はストーカーの顔を一度も見たことがありません。
ただ一度、ストーカーを間近で見たことがあり、そのときに履いていた靴と被っていた帽子がなぜか彼の部屋にあるものと一致したのです。

私は「この靴と帽子はどうしたんですか?」とおそるおそる聞いてみました。少しの期待はありました。
もしかしたら彼が私のストーカーを知らない内に捕まえたもしくは接触があってこれを手に入れたことを信じたかったのです。

しかし彼の母親は「これは息子が気に入ってよく履いてた靴」と微笑ましい思い出かのように語っていました。
この帰り道、蒼白になりながら帰りました。
何度も何度も後ろを振り向き、過去のストーカーに追い回されたことを思い出し、心臓をバクバク言わせながらやっとのことで、家まで帰り着きました。

家に帰って、私はいつものように携帯を確認します。
そしておそるおそるメールを確認して、例のメアドのメールを開き、ぞくっと身が凍り付きました。
そのメールには一言だけ、こう書かれてあったのです。

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コメント(2)
  • 彼の母親もグルなのかな?

    2022/03/29/01:39
  • ストーカーほどこわいものはない
    ためはち

    2022/05/18/20:48

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