穏やかな山に隠された、人を喰う沼の伝説
投稿者:窓際族 (47)
石川県のとある山に「子供は絶対に近づいてはならない沼」があります。
それは一見、特に変わったところのない沼です。
水面は静かで、カエルやトンボといった生き物が住まい、水はそれなりに澄んでいる……もしかすると、人によっては穏やかさや平和さすら感じられるかもしれません。
しかし、辺りをよく調べてみるとこの沼のおかしなところに気づくはずです。
この沼に流れ込む沢や湧き水はなく、またこの沼から続く沢もない……
かといって雨がなくとも水が涸れることはなく、また大雨の時でも水があふれることがない……
伝説によれば、この不思議な沼はとある妖怪によって作られたものなのだそうです。
山に入る強欲な人間を呑み込み、逆に糧にしてしまう……
特に子供はあっという間に呑まれてしまうから絶対に近づいてはならないということでした。
まあ、大人だってまず行かないんですけどね。
しかし、ある時山菜採りのためにその沼の近辺に行くことになりました。
私はできるだけ物事を科学的に考えるようにしてはいるのですが、その沼にはあまり関わりたくなかったので少し距離を取りつつ山菜採りをしていました。
しかし、嫌な予感がしていました……帰省でこの山に来ていた親戚の若い夫婦が、沼の方へと向かって行ったのです。
もちろん、彼らにはちゃんとこの沼のことについて話しておいたのですけどね。
そして、案の定恐れていたことが起きました。
夫婦の妻の方が沼近くのゆるゆるになった地面を踏んだらしく、それにハマって急激にズブズブと沈んでいきました。
驚いた夫やそれを見ていたおじさんが急いで助けに入ったので、彼女は下半身泥だらけになっただけで済みましたが、もしこれが1人での山菜採りだったら……あるいはもし全員がその地面にハマっていたら……
この沼では「この沼に喰われた亡者が助けを求め生者を引きずり下ろす」だなどと言われていますが、まさにそんな感じの沈み方をしていました。
もし子供がハマっていたら一瞬で消えたかのように見えるかもしれません。
その後偶然テレビで見た話ですが、これと似たような沼は全国各地にあるようですね。
ここでは「もし沼に喰われかけたら絶対に暴れてはいけない」と言われていますが、それは科学的にも正しい対処法なのだそうです。
とはいえ、そんな場所には行かないというのが根本的に正しい対処法だと思います……あれは天然の即死トラップと言っても差し支えないようなものですから。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。