笑顔での運転
投稿者:りう (54)
短編
2022/03/08
21:23
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隣家にシングルマザーが住んでいた。子どもさんは幼稚園の年長さん男の子ひとり。ある日、二人で歩いて通園途中、走行車両が歩道に乗り上げてきて、子供さんが轢かれて亡くなってしまった。その奥さんは、とっさに自分だけ避けてしまい、その後ろにいた子どもさんが轢かれてしまったようだった。奥さんは数ヶ月ふさぎ込んで生活していたが、何とか元気を取り戻し始めていた。晴れた日、奥さんが車での買い物を終えて帰宅した。車は駐車場に入れず、家の前の路上に駐車していた。しばらくすると、近所の親子(母、小学生)が、その奥さんの家の方向に向かって歩いていたのだが、それを家の中から見ていた奥さんが走って外に出て来て車に飛び乗り、急発進して親子に向かって走行し始めた。親子は異常に気づき、手前の家の敷地内に飛び込んで何とか助かった。運転していた奥さんは電柱に追突し、気を失って救急車で運ばれて行った。その時、走行していた車の窓が開いていて、運転しながら叫ぶ奥さんの声が外に響いていたらしい。
「避けて!お母さん避けて!避けて避けて!」
その時の奥さん、満面の笑顔だったらしい。
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