うなぎパイに注意
投稿者:ショーヘイ (10)
短編
2022/03/05
07:12
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彼女とドライブデートをした帰りの出来事です。
免許とりたてで遠出をした俺はうっかり迷子になってしまいました。
カーナビの調子も悪く、同じ道を行ったり来たりしているうちに彼女はすっかりへそを曲げてしまいました。
「何ここ、山ん中じゃない」
「知らない間に入っちまった」
しばらく進んでいくと道が二手に分かれていました。辻の中央には古ぼけた地蔵が建っています。
「どっちが正しいルートなんだろ」
悩んでいても答えが出ず、ひとまず車から降り立ちました。彼女は地蔵に興味を示して駆けていきます。
「か~わいい~。お供え物しちゃお」
そういって地蔵の足元においたのはうなぎパイでした。友達の旅行土産の余りものです。
「お地蔵様、どうか私たちを無事帰してください」
熱心に祈る彼女にならって手を合わせ、再び車に乗り込みました。
「で、どっち行く?」
「右。ぴんときたの」
地蔵のご利益と彼女の直感を信じて右の道を走っていると、前方に明かりが見えてきました。きっと人家です。
「ほら当たり!」
無邪気にはしゃぐ彼女に釣られて苦笑した矢先、恐ろしい予感に襲われ急ブレーキを踏みました。道の先は急傾斜の崖になっており、さっきまでチラ付いていた明かりも見当たりません。
「どうして……」
顔面蒼白の彼女がポツリと呟きました。
「あのうなぎパイ、賞味期限切れてた」
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ワロタ
怖い話というか小噺みたい
落語にありそう
そりゃ駄目だ。
うなぎパイっていうのも、お供えするにはどうなんだろ。