悪食の犬
投稿者:ショーヘイ (10)
短編
2022/10/08
12:16
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俺は田舎で犬を飼っていました。犬の名前はケンゴローといいます。
コイツがとんでもない悪食で、ちゃんと餌をやってるのにそのへんの雑草とかティシュペーパーとかなんでも食ってしまうのが悩みの種でした。
ある日ケンゴローが脱走しました。
「おーいどこだケンゴロー」
「帰ってこーい」
家族総出でさがしても見付からず、すっかりお手上げです。
「裏山に迷い込んだんじゃないかな?」
「腹が減ったら勝手に帰ってくるさ」
父がのんびり言いました。以前脱走した時も一週間ほどで帰ってきたので、正直な所あんまり心配はしていませんでした。
数日後、ケンゴローがひょっこり帰ってきました。
「な、言ったとおりだろ」
「やっぱり裏山に行ってたのか」
皆でケンゴローを抱き締めて喜びました。数日間何を食べてたのでしょうか、元気一杯しっぽを振り回してます。
木の実や木の根を掘り返して食べてたのかな?と思ったのですが……。
ケンゴローの糞に目をとめ、母が眉をひそめます。
「何かしらこれ。服の切れ端?」
翌日、裏山でバラバラ死体が発見されました。腐敗の進んだ死体は損傷が激しく、獣に噛まれた痕があちこちにあったそうです。
想像したくありませんが、ケンゴローが食べたのは……。
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