首塚大明神の禁忌

京都の首塚大明神には酒呑童子の首を埋めた塚があります。鳥居をくぐると呪われるとも言い伝えられており、知る人ぞ知る心霊スポットでした。

高校生の時、当時付き合いがあった不良仲間と肝試しにきました。昼でも滅多に人が来ない閑散とした場所ですが夜だと尚更気味悪く、等間隔に並ぶ石造りの鳥居に威圧感を感じました。

「よっしゃ、一番乗り！」
「待てよずるいぞ！」

お調子者の仲間が我先に鳥居をくぐっていくのにたじろぎました。

「お前もこいよ」

「さすがにやめとく」
「ンだよびびってんのか」
「祟りが怖ぇもん」

仲間にはさんざんヘタレだの意気地なしだの馬鹿にされたましたが、足が竦んで動けません。他の連中はまるで気付いてないみたいですが、さっきから妙な気配がざわざわしているのも不安を煽りました。

数年後、あの時一番に鳥居をくぐった友達がバイク事故で命を落としました。二番目に鳥居を抜けた友達は難病を患って入院しています。

たんなる偶然だと思いたいですが……。