地元の神社に有名な桜の巨木があります。
既に枯れており春になっても咲かないのですが、神主が殺生を禁じていた為、切られることなく境内に残されていました。
中3年の冬、受験の合格祈願に訪れた時の出来事です。
願い事を書いた絵馬を奉納した後、すぐ帰るのも惜しかったのでぐるり一周していた時、偶然例の桜が目にとまりました。
正確には桜の枝の異変が興味を引いたのです。
「この枝、ねじれて絡まってる」
ちょうど私の頭上、少し背伸びすれば届く位置の枝です。互いを締め上げるように絡まり合った枝に好奇心をそそられ、何気なく手をのばしました。
「一本では心もとない。二本束ねればちょうどいい」
「二人分支えられます」
「えっ?」
突如として耳元で響いた男女の声に驚き、振り返れど誰もいません。気味が悪くなって逃げ帰ろうとするや、奇形の枝がギシギシ撓んで恐ろしい幻が垣間見えました。
目の前の枝に赤い帯で片手同士を結んだ男女がぶらさがっていました。二人とも首をくくっています。
後日、明治時代にこの桜の木で男女の心中が起きた事を知ります。神主さんが桜を切らないのは祟りを恐れているからだそうです。
「前に悪ガキがふざけてのこぎりを入れたら、切断面から血が噴き出したんだ」
神主さんの言葉にぞっとしたのを覚えています。
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