狂った隣人の恐怖
投稿者:くやり (24)
短編
2022/02/18
23:50
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私が住むアパートには問題児がいます。隣の部屋に住む、三十代無職の男性です。
詳しい素性は知りませんが司法試験に落ち続けたのが原因で精神を病んでしまったとかで、親の仕送りに頼って生活しているようでした。
一日中部屋に引きこもって壁を殴る蹴る暴れていたかと思いきや、急に近所をふらふらしてゴミ漁りをするなど、とにかく気持ち悪い人物でした。
警戒している間にも奇行はエスカレートし、やがて看板や標識に描かれた人間の目を潰しまくるようになります。
「コイツら、俺を見張ってるんだ」
もちろん根も葉もない被害妄想です。
ご近所中の看板や標識の目を潰し終えてもまだ満たされないのか、男はゴミ捨て場で拾い集めた人形を持ち帰り、その目を焼き始めました。
しばらくたった頃、男の部屋からボヤがでました。
男の部屋に駆け込んだ私と大家さんが目撃したのは、想像を絶する恐ろしい光景でした。
男は室内で事切れていたのですが、その目は何者かによって焼かれていたのです。
一体誰が犯人なのか……恐れ慄くアパートの住人たちにもたらされたのは意外すぎる報せでした。
「検死の結果、事件性はないと判断されました。自分の目に煙草を突っ込んだんです」
男が試験に落ちたのはメンタルの弱さのせい……周囲の視線が与えるプレッシャーに負けたのです。
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