垂れた髪と天井裏の秘密
投稿者:もみじ (3)
あれは、私が中学生の頃の話です。
私は5人家族の長女で、妹が二人に父親と母親がいる、どこにでもいるような女の子です。
引っ越しを機に、これまで妹と一緒だった部屋から一人部屋になりました。
部屋の位置は2階、階段を登るとまっすぐ廊下があり、手前の左側に私の部屋、その奥に妹の部屋で、妹の部屋の向かい側にあるのが父親の部屋でした。
少し不思議に思ったのは、父親の部屋の前の廊下に大きなシミが残っていたことです。
その上の天井には、天井裏へ行くための天井裏点検口がありました。
そこから何かが垂れているのかな?とも考えたのですが、別段何かが垂れているわけでもなく、そんなに新しい家でもないだろうししょうがないのかと捉え、特に気にも留めずに生活をしていました。
しかしこの家に引っ越してきてから、私は金縛りによく遭うようになりました。
夜寝床に着くと、体がビリビリとして重たい何かが乗っているような感覚になるのです。
体は動かないし、目は開けてませんが明らかに何者かの気配を感じ、金縛りになるたびにただ目を瞑ったままひたすら耐え忍びました。
このことを家族に話すと、どうやら妹は家のラップ音が気になっていたらしく、母親はお風呂に入っていたら風呂場のドアが誰もいないのにゆっくりと開いたと証言しており、もしかしてこの家に何かいるのではないか?と思い始めていました。
このあたりから、家族も体調を崩しがちで、私も晩御飯を食べてお風呂に入ると毎回吐いてしまう謎の体調不良に襲われていました。
今思えば、あそこは何かがあった物件なんじゃないかと思っています。
そして、大きな出来事は突然やってきました。
いつも通り私は自室で布団に入り就寝しようとしていました。
なかなか眠れない中、ようやく眠りに入りそうになったあたりで金縛りが始まりました。
正直、この家に来てから何度も金縛りになっているため(またか…)と思っておりましたが今回はいつもと違いました。
完全に意識はある中、怖いので目を瞑り続けていると音が聞こえ始めたのです。ざわざわといった人がたくさんいるような音です。イメージとしては、どこかの会食パーティーで人々が集まり、立ちながら飲み物を片手におしゃべりをしている、その足元にいるような臨場感。
足音とざわざわとした音と、明らかに人がいると感じる不思議な感覚でした。
なんとか金縛りを解きたくて、手先の方から動かそうにもなかなか動きません。
ざわざわとした音が段々と変わってきました。
何を喋っているのか全くわからないのですが、段々人の話し声が大きくなり始めました。
その間にも小指に神経を集中させて動かそうとする私。(怖い、早く眠りたい)と怯えながら何度も動こうとしている最中、
「ギャアアアアア!!」という大声が私の耳をつん裂きました。子どもの悲鳴のような声です。耳元で突然大声が響き渡り、私の心臓がドキドキとそして嫌な冷や汗がダラダラと出始めました。今までこんなことはなかったのに…
大声は私の真横の右耳、左耳にぶつかるような勢いでなおも続きます。「ワァァアア!!!」「ギャアアアアア!!」と耳に思い切り声を当てられ、(早く金縛りを解きたい、怖い、怖い)と動かない体を必死に動かそうとしましたが、全く動きません。
子どもの悲鳴のような声はどんどんエスカレートし、そして声とともに今度はビリビリとした強風のようなものが、ものすごい勢いで私の顔を叩きました。
普通に叩くだと物理的に当たるので痛いのですが、これはビリビリとした強風なので痛いわけではなく、しかし思い切り顔の向きが変わってしまうほどの力強さがありました。
顎を叩かれ顔が上を向いてしまいしましたが、金縛りで動けず、続いて右から殴られる感覚、左からも殴られる感覚、耳元では相変わらず子どもの悲鳴が続けられています。
殴られるほかに、蹴られる感覚もあり、ボコボコにされている気分でした。
このような金縛りがあるなんて聞いたこともありません。
私は藁にもすがる思いで、頭の中で「南無阿弥陀南無阿弥陀…」と唱え始めました。
しかし子どもの悲鳴と殴られる感覚は一向に止まず、気がつけば気を失ってしまいました。
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