垂れた髪と天井裏の秘密
投稿者:もみじ (3)
朝、目を覚ましおそるおそる自室の様子を見渡しました。特に何も変化はなく、疲れていたのかな…と自分に言い聞かせました。
私は家族の中でも少しだけ霊感があるようで、前の家でも夜ふと目を覚ました時に私を覗き込む兵隊姿の人を見て失神したり、茂みから声が聞こえてきて「誰かいるみたいだよ」と周りに伝えても「え、そんな声しなかったけど…何、怖い!」と言われてしまったり、夜に死んだ犬の足音が聞こえてきたり、とにかくそういった体験は多少してきました。
それにしても、今回のこの金縛りにはかなり恐怖を覚えたのです。あまりにもリアルに感じ、しっかりと意識はあったし、布団の中にいる感覚は残っていたからです。
幸いだったのは、何としてでも目を瞑り続けたことです。
おかげで何も見ずに済み、休日だったのでネットを見ながらゆっくり起きました。
そうしてお腹がすいたので扉を開けました。
目の端に見えたそれを確認せずに、開けた扉を閉め自室に戻りました。
床にシミがついていた、その上の天井裏点検口から長い髪の毛が垂れていました。
私はその日、誰かが二階に上がってくるまで部屋を出ませんでした。
後日、その一件を伝えたところ、母親が天井裏点検口を開けて見てみることになりました。
四角い点検口を開け、懐中電灯で中を照らします。ひょっこりと私も頭を覗かせてみると、中は暗く、灰色のモコモコしたものがたくさんありました。周りを見渡し、今度は後ろを振り返って懐中電灯で照らすと木の柱にお札が貼られているのを見つけました。しかしそのお札は黒くなっていて、破れかけていました。
無闇に触ってもいけないと思い、そのままにしました。
結局一年もしないうちに私たちはまた引っ越すことになりました。
父親が鬱状態になり、3日眠れなかった日に睡眠薬を増やして飲んだところ、ばたりと泡を吹いて倒れたことが大きかったと思います。
引っ越してからは今回の件のような事はなく、父親の状態も回復して家族も大きな怪我などなく過ごせています。
ただ、あの日に見た髪の毛が強烈に今でも目に焼き付いていて離れません。
床のシミと、垂れた髪、お札…
私に一体何を伝えたかったのでしょうか。
今でも、それはわかりません。
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