遺品整理
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
おばあちゃんは当時としては珍しく、会社勤めをしていて男性と同等の仕事をしていた。
当時の風潮としては、女性は家庭にいるべきという考えから、女性が外で仕事をすることはなかなか認められなかった。
そんな事から、その3人は、おばあちゃんにきつく当たっていたらしい。
盆や正月などで親戚の集まりなどがあると、母は「女のくせに」とか「女は家を守ればいい」といった言葉をよく聞いていたそうだ。
そのたびにおばあちゃんが「これからは女性が社会に」などと反論するから、余計に3人から疎まれていたというのだ。
ところがその後、1~2年の間に立て続けにその3人が亡くなっていった。
母の説明をまとめると、次のような話だ。
頭の針のリボンにある名前は「A太郎」。
A太郎さんは、ある忘年会でかなり酔ってしまい、その帰りに駅の階段で転んでひどく頭を打って亡くなった。
左胸の針のリボンには「B助」。
B助さんはもともと不整脈があったが、仕事が忙しくて病院に行けなかったらしく、結局重い心臓病を患って亡くなった。
右足の針のリボンには「C男」。
C男さんは車で右足を切断するほどのひどい事故を起こし、その後亡くなった。
そして、右胸に刺さっていた針のリボンに書かれたのは、おばあちゃんの名前だった。
私にはちょっと気になる事があった。
あのリボンの滲んだ文字を見て、母はなぜすぐにあの3人の名前だとわかったのか。
人形に針を刺したのは結局誰なのか。
そもそも、あの人形を作ったのは本当におばあちゃんだったのか。
色々考えてもただ気味が悪くなるだけだ。
そう、これは全て偶然なのだ。
とても良かったです。
人形を作ったのはやっぱり…
祖母作製で、母に引き継いだのではないかな。
祖母も痛みに苦しみ、娘たる母に「いっそ、ひと思いに」と言いながら。
もしかして、母が祖母を…?
二人の間に何かあったのだろうか…
と考えずにはいられない終わり方
ですね…。
ここ数日でたくさんの「怖い」を頂きありがとうございます。
でもその理由が分からないのが一番のホラーです。
こんなことを書くと怒られそうですが。
作者より
人を恨んだりする気持ちを形にするのは、怖いですね。