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足が太いさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

こっくりさんが帰らない
長編 2022/02/04 01:11 7,416view
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しかし、白昼夢ではありませんでした。
翌日から家族が、動物を飼っていないのに「洗ってない犬のような臭いがする」「部屋の中で中型犬くらいの大きさの影が見える」と、おかしなことを言うようになったのです。
私にはさっぱり見えませんが、私以外の家族は皆見えているようで、「一応、部屋の角に塩を置いておこう」ということになりました。

気休め程度ではあるものの、塩を置いたので家族も変なものはもう見ないだろうと思ったのですが…。
しばらく経つと、やはり前のように獣臭がしたり、黒い影が見えるのだそうです。
それも、私の背中あたりから獣臭がする、私の周りで黒い影が見えるとのことで、すっかり怖くなり、とうとう家族の前で泣きだしてしまいました。
家族に「何かあったのか」と心配されましたが、こっくりさんをしたとは言えませんでした。
でも、このままにはしておけないので、こっくりさんに帰ってもらう為、もう一度行うことにしたのです。

最初の時と同じように、こっくりさんは私1人で行いました。
鳥居のところに10円玉を置いて、こっくりさんを呼び出すと、やはり10円玉は勝手に動き出し、「はい」のところで止まります。

恐怖で叫び出したい気持ちを抑えながら「こっくりさんこっくりさん、お帰り下さい」と伝えると、10円玉はスーッと動き、「いいえ」で止まりました。

「こっくりさん、この間はごめんなさい。お帰りください」
「いやだ」
「ごめんなさい、どうかお帰りください」
「いやだ、いやだ、いやだ、いやだ」
「どうしたらお帰りいただけますか?」
「おまえが、」
「私が…?」
「おまえがとびおりたらかえる」
「私が飛び降りたら帰る…」

当時、10階建てマンションに住んでいて、私の部屋には小さいですが窓があります。
(この窓から外に飛び降りたらこっくりさんは帰ってくれる…)
いつもならばそんなこと一度だって考えたことはないのに、その時は「こっくりさんにお帰りいただくには私が飛び降りるしかない」という考えしか浮かびませんでした。

窓に近寄り、鍵を開けて扉を開き、下をのぞき込むと、真後ろに強い獣臭がして、耳元に「ハァッ、ハァッ、ハァッ」という息遣いが聞こえてきました。
(飛び降りなきゃ、飛び降りなきゃ…)
頭の中はそればっかりになり、とうとう身を乗り出した時、部屋の扉が開いて父が入ってきたのです。
父は窓から落ちる寸前の私に気づき、慌てて走ってきて部屋の中に引っ張り入れました。
それから、動けないで固まっている私の足元に落ちていたこっくりさんの紙を見つけ、「帰れ!娘は連れて行かせない!」と叫びながら思いっきりビリッと破ってしまったのです。

すると、黒い煙の塊のようなものが部屋の中にいきなり現れて、ぐるんぐるんと天井のあたりを回ったかと思うと、そのまま開けたままだった窓の外からどこかに消えていってしまいました。
後から教えてもらったのですが、どうやら父も子供の時にこっくりさんをやって帰ってもらえなかったことがあるのだそうです。
その時、おばあちゃんが「帰れ!」と、言いながら紙を破るとこっくりさんは消えてしまったとのことでした。

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コメント(2)
  • 1人こっくりさんやってみようかな

    2022/02/04/17:59
  • コックリさんは独りではやってはいけない。
    まともな霊媒が必要です。
    コックリさんは大抵の場合、それを行う人間の深層心理が関わっています。ですが、稀に低級霊が関わっているものがあり、危険を伴います。本物の霊現象と言えるものは、直接筆記現象などです。直接筆記現象は唯物論者でさえ認めざるを得ないほどの心霊現象であり、その事例は日本を始め世界中で報告されてきました。トリックやインチキでは説明がつかない現象が実際に世界中でおきているのです。

    2022/02/08/16:29

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