怖いオーラを出していたのはどっちだ?
投稿者:レイレサ (64)
これは私の母が若い頃に体験した話。
母は結婚した直後に父の仕事の都合で転勤となった。
引っ越し先は冬になるとそれなりに積雪する雪国だった。
それまで住んでいた場所は気候もよくて雪とは無縁だった。
その年に初めて雪の怖さを知ったそうだ。
慣れない環境、価値観がまるで違うご近所さんとの摩擦などいろいろあったらしい。
毎年雪かきに追われたり車の運転に神経を使わなければならない。
ガラリと変わってしまった環境で母は少し精神的に病んでいた時期があった。
そんなある年の冬のこと。
大雪が降ってしまい、除雪に追われた母は寒さと疲労とストレスからまた精神的に病んでしまった。
心が病んでも雪かきをしなければならない、仕方ないので車庫の前の雪かきをしにいった。
車庫の前には若いカップルが住んでいる借家がある。
男も女も髪を派手に染めて派手な服装のいわゆるヤンキーだった。
このヤンキーカップルはご近所さんに絡むなどの問題も多々起こしている。
ある時は隣の家の主婦の胸倉をつかんで喧嘩になり、警察沙汰になった。
ある時は数軒隣の主婦が犬の散歩をさせている最中に犬がうるさいからと絡んで喧嘩になった。
とにかく、近所の間でも素行が悪くて関わりたくないと思われているヤンキーカップルだった。
母は除雪するために車庫の前にやってきたのだが、車庫の前に山積みになっている雪山を見て唖然とした。
ヤンキー女がスコップで雪かきをしていたのだが、うちの車庫の前に雪を捨てていたのだ。
そのために車庫の前が小さな雪山みたいになってしまっていた。
母はすぐさまヤンキー女に除雪のことで注意をする。
ヤンキー女は注意されたことでイラっとしたのか、母に喧嘩をふっかけてきた。
口論が続き、ご近所の面々は成り行きが気になるものの、ヤンキー女と関わりたくないために誰も外に出て助けに来てくれなかった。
あとになって分かったのだが、隣の家の主婦は窓のカーテンを少しだけ開けてこっそりと眺めていたらしい。
心が病んでいた母は怖いという感情が無くなっていたようで、ヤンキー女にどんな暴言吐かれても怖いと思わなかったらしい。
口論がエスカレートし、ヤンキー女は母に掴みかかろうとした。
その時にヤンキー女の彼氏が登場、女を止めたことで喧嘩は収まった。
それから数日後、ヤンキーカップルはとても大人しく過ごしていたらしい。
母の顔を見てもそそくさと逃げていく。
もちろん、母は取っ組み合いの喧嘩が出来るほどの精神力はなかったと言っていたし、そういう気迫も出してなかったと思う。
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