扉の向こうの足音
投稿者:ユウスケ (13)
私が小さいとき、よく遊びに行っていた友人のお家での出来事です。
ある日のお昼、いつものように玄関の前へ立ち、
「あそぼー!」と友人に呼びかけたのですが応答はありませんでした。
インターホンは壊れていたため、何度か呼びかけて扉も叩いていたのですが、しばらく経っても全く応答がありません。
この時間に来るからね!と約束していたのにも関わらず、私は「おかしいな~」と思いながら、
もしかしたら中で何かしてて、出られないのか?聞こえないのか?と思い、
ついには扉をガチャガチャッ!と開けてみようとしました。
結局、何度もガチャガチャッとしてもどうやら鍵がしっかりとかけられているようで扉は開きませんでした。
「さすがに鍵をしていないことはないか」と思い、もう一度だけ呼びかけてみることにしました。
「○○くん、来たよ~!あそぼー!」
すると、扉の先の廊下からドンッドンッドンッと誰かがこちらへ走ってくる足音が聞こえました。
「なんだ~やっぱりいたのか」と思い扉の前で待っていると、鍵の開く音が聞こえました。
しかし、扉はなかなか開きません。あれ?と思い、○○くん?と問いかけながら
こちらから扉を開けてみると、
そこには誰もいませんでした。
玄関まで入り、再び、○○くんー!と呼びかけてもやっぱり誰も出てきません。
私はイタズラなのかなと思い、少し度が過ぎていると感じて怒ってその日は帰りました。
次の日、学校で○○くんに聞きました。
「なんで昨日、ずっと隠れてたりしてたのさ!」と怒りながら問うと、
「え、隠れてないよ!ごめんね、昨日いきなりお母さんと買い物に行くことになっちゃって遊べなくなったんだ」
「え?そうだったの?でも、扉あけてくれたじゃん!」
「開けてないよ?僕、夕方遅くにお母さんと帰ってきたもん」
その当時の私は、小さかったのかよく分かっていなかったのか
「ま、いっか」と済ませていたのですが、
今となってはあの足音と鍵を開けてくれたのは誰だったのだろう?と考えてしまいます。
そして、その友人から聞いた話を思い出したのです。
「夜中、寝ているとたまに廊下から足音が聞こえるんだ。
ドンッドンッドンって。」
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