記憶違いの友達
投稿者:ぴ (414)
この件があって、いじめをした側に冷たい視線が向くようになって、学校側は更なるいじめを危惧したのか、季節外れのクラス替えが行われました。
その後、私と寡黙だった友達と活発だった友達はそれぞれ別々のクラスになってしまって、自然と遠ざかりました。
あんなに仲良かったのに、呆気なくその関係が壊れたんです。
私は舞ちゃんと仲良くしていたはずの友人がなぜ酷いいじめをしてしまったのか不思議でした。
しかし、問い詰めたときに余計なことを話して、自分も嫌がらせをした一人だということがバレることが怖くて、下手なことを聞けませんでした。
また一緒に行動していた寡黙な友達とも距離を置きました。
この友達は私が友達を取られたことに対する嫉妬で、舞ちゃんに小さな嫌がらせをしていることを少なからず知っていたはずだからです。
なぜ話さなかったのかぜんぜん考えが読めなくて、怖くて距離を取ってしまいました。
私はこのように苦い思い出とともに、小学生で大切な友達を2人失ってしまったのです。
だから成人式の日の夜に、小学校のクラスメイトで集まる会を開くと聞いたときに、ドキッとしました。
あの日失ってしまった二人の友達に会えるかもしれないと望みを抱いたからです。
あれから何年も経ちましたが、私は二人の友人のことを忘れられませんでした。できることなら二人ともう一度和解して、仲良くなれる方法がないかと思ったんです。
久しぶりに会った友達は、みんな懐かしく、想像していたほど変わってなくてなんだか力が抜けました。
久しぶりに会った友達と話していて、懐かしさがこみ上げました。
一緒に帰っていた裕子ちゃん、塾が一緒だった紗枝ちゃん、放課後遊んだ千夏。みんな懐かしい顔で笑いあって昔の話で盛り上がりました。
でも私が探していた二人は参加しなかったのか見つけられなかったです。
集まる会の参加者と話していたら、あの苦い思い出である舞ちゃんのいじめの話が出てきました。
私は心臓がひゅっとしましたが、みんなもう過去の話として捉えているのか気にしていないようでした。
犯人だった子はここに参加はしていませんでしたが、もうすでに結婚して子供がいるらしいです。
そして舞ちゃんは会社員をしていて、今まだ独身なんだとか。
そんな話に、「意外なもんだよねぇ」なんて話をしました。
私はこれがあの友達との接点を取り戻すチャンスだと言わんばかりに、「もう一人犯人がいたよね」と言いました。
でもおかしなことにみんな「え?」って不思議そうな顔をして、犯人は一人だったよと言うのです。
私は「いや、もう一人いたでしょ。活発で舞ちゃんと一番仲が良かった…」と友達の特徴を話しましたが、みんな狐に包まれたような顔をしています。
そして誰一人としてその子のことを覚えていないのです。
「名前は?」と聞かれた私は答えようとしました。でも答えに詰まりました。
なぜなら私はその子の名前を憶えていないのです。
舞ちゃんや裕子ちゃんや紗枝ちゃん、千夏のことは覚えているのに、ことさら仲が良かったその友達の名前を思い出せません。
「じゃあ、犯人を見つけた…のことは…」と私はそう言ってひゅっと言葉を吞みこみました。
名前が出てきませんでした。私が仲良し3人組と言われてた2人の友達の名前だけぽっかり記憶から抜けていることに気が付いたんです。
イマジナリーフレンドみたいなものかな?
不思議で面白かったです
卒アルあるのでは?