ウミカクシ 海上の恐怖と街の伝承
投稿者:イエティ (51)
長編
2022/01/05
12:42
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小型船ゆえに燃料も心許ない。
瞬間移動を試すか、陸に上がってみるか、アンカー降ろして朝まで待つか。
朝まで待つ、3人の意見は一致した。
しかしここは極寒の海の上、時刻はまだ22時。
日の出まで8時間以上ある。
凍死のリスクもあるし朝まで待ったところでどうなる?
陸に上がるのは怖い、怖すぎる。
もう一度、瞬間移動を試すしか方法はなかった。
意を決して、ライトを消した。
「S浜S浜S浜…お願いします…」
それぞれ、手を合わせてS浜にたどり着くことを願う。
ライトをつけると、そこはS浜だった。
外洋の方にはイカ釣りの船が何隻もいる。
今から出ていく船ともすれ違った。
カップラーメン食べたあの場所から微動だにしていなかった。
時刻は21時過ぎ。
おそらく、時間は経過していない。
何かの条件が重なり、何かが引き金になり起きた現象だろうが、あの1時間の瞬間移動ツアーはあまりにも恐ろしい体験だった。
あれから近所の漁師さんやHの父親に話を聞いてみたが、そんな話は知らんと。
これといったオチはないが、実際経験したらわかる。
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