ウミカクシ 海上の恐怖と街の伝承
投稿者:イエティ (51)
長編
2022/01/05
12:42
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その漁港までは15分くらいだろうか。
その途中で、Eが「カップラーメンが食べたい」と言い出した。
少しの明かりで、極寒の中、海の上でカップラーメンが食べたいと。
なんで?聞いても「ロマン」としか言わないだろうから静かに同意した。
ただ、小さい船だからポットなんか置いてない。
食える設備ねえよ、とHが言った。
するとおもむろにEは持ってきていた、熱湯を入れたスープジャー×3とカップヌードル×3をリュックから取り出した。
やはり海で食べるカップラーメンは格別だ。
船上の明かりだけにしてカップラーメンをむさぼる。
そして食べ終わり、ライトを点けた。
するとHがしばらくの沈黙ののち、こう言った。
「…ここどこだ」
当然、若干は流されているだろうから場所が移動していてもおかしくない。
が、おむつ履いてる頃からこの海を見ているHが「ここどこだ」って、どういうことだ?
「どうしたん」
Eが言う。
「ここ、S浜の海じゃない」
Hが言う。
「じゃあどこだよw」
Eが言う。
Hは何も答えない。
「え?迷ったの?」
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