お風呂の鏡の中の自分が・・・
投稿者:ぽっけ (10)
これは私が高校時代、友人Rちゃんから聞いた話です。
ある朝登校すると、いつも明るいRちゃんが、何だか浮かない顔をしていることに気づきました。
「おはよう。今日なんか元気ないね、何かあった?」
「うーん…そう、かな」
曖昧な返事をする彼女。
「もし話せるようだったら、話してよ。聞くからさ」
私がそう言うと、一瞬戸惑いながらも昨晩、彼女の身に起きた出来事をポツリポツリと話してくれました。
「信じてもらえないかもしれないけど…聞いてくれる?」
剣道部に所属する彼女は昨日、普段通り、部活を終えて夕方頃に帰宅しました。
夏場ということもあり、汗だくになっていた彼女は浴室へと直行。
浴室の壁にはよくある縦型の大きな鏡が設置されています。
ふんふんふんと鼻歌交じりにシャンプーをし、泡を綺麗に流してから目を開けると…。
信じられないことに、鏡の中の自分はまだ下を向いてシャンプーをしていたそうです。
彼女が驚きと恐怖で言葉を失っていると、鏡の中の自分がゆっくりと顔を上げてニヤリと不敵な笑みを浮かべたそうです。
その瞬間、悲鳴を上げて裸のまま浴室を飛び出して、お母さんに抱きつき、浴室の鏡を見るよう急かしましたが、「何も映っていないよ」と言われてしまったとのこと。
結局その夜、妹、お母さん、お父さんと順にお風呂に入っても、何も異変はなかったそうです。
かれこれ20年近く前の話ですが、一体なんだったのだろうと、時々ふと思い出します。
この出来事のあと、「彼女が不運にあわないかな…」と心配もしたのですが、幸いなことに何事もなく日々が過ぎていき、安心したことを今でも覚えています。
「単なる友達の見間違いじゃない?」
「作り話では?」
この話をするとそんなリアクションが返ってくることも多いのですが、あの日青ざめながら話してくれた彼女の顔を見た私は、本当にあった出来事だと信じています。
地味に怖い