山道はどこに繋がっている？

私の父の知り合いTさんが体験した不思議な出来事です。

Tさんは車の免許を持っておらず、お出かけする時は自転車に乗っていました。
雨が降ろうが夜になろうが、そこが暗い山道でも墓地の近くでもお構いなしなくらい怖いもの知らずだったそうです。

ある日、Tさんは友人の家に用事で出かけました。
友人の家に行くには山道を通らなければなりません。
普段から友人の家によく通っていたことで、その山道も通り慣れた場所でした。

自転車を走らせても１０分くらいしかかかりません。
友人の家で用事を済ませたTさんは自分の家に「今から帰る」と電話をしてから帰宅しました。

ところが！

何時間経ってもTさんは自宅に戻ってきません。

家族は心配します。
友人の家に電話しますが、もう家を出てから何時間も経っていると言われてしまいます。

もしかして事故に遭ったのか、何かの事件に巻き込まれたのか。

Tさんの家族は車を出して友人の家に向かいますが、途中の山道にもTさんの姿を見かけることはありませんでした。
当然ですが、友人の家にはTさんは居ませんでした。

家族は車を走らせてまた山道を通って帰宅しました。
それから３０分ほど経ちました。

Tさんが何食わぬ顔で帰宅します。

家族全員びっくりしてTさんに「今までどこに行っていたのか！」と問い詰めましたが、Tさんは何が何だか訳が分からないような表情を浮かべて困惑していました。

Tさんは帰宅の電話をしてから、自転車に乗っていつもの山道を通って帰ってきたと言います。

途中どこも寄り道をしないで帰ってきたと主張します。
時間は１０分程度しか経ってないと思っていたようです。

しかし、家族は何時間も連絡がつかない状態だったと反論。

Tさんは頭にハテナマークがついたまま、自分の身に何か起きた可能性を考えます。
もしかして、あの山道が原因ではないか？

後日判明したのですが、あの山道は過去にも似たような話があったそうです。

よくあの山道を通っていた人が何時間経っても帰ってこないのです。
心配した家族が探しに行っても姿を確認することが出来ない。

そのうち普通に帰って来るのですが、山道を通った人と家族の体感時間に差があるというものです。

あの山道には何かあるのでしょうか？
普通に通行していても、ある日ふと違う場所へ繋がってしまい、そこに迷い込んでしまうのかもしれません。