関わりのない人のご先祖様を怒らせてしまった彼
投稿者:ヤン子 (7)
これは、夫が幼少期に体験した恐怖体験です。
学校終わりに、夫は友人数人と鬼ごっこやバドミントンなどをして遊んでいました。
夫の住む地域は、池や木々に囲まれた緑豊かなところです。彼らは遊びに夢中になるうち、バドミントンの羽を木の枝に乗せてしまいました。
枝までの高さがあり、落ちている小石を投げたり枝を投げてもなかなか取れません。
「仕方ない。他の遊びにしよう」そう夫が言おうとした矢先、一人が細くて長い板を持ってきてソレを放り投げました。
板は、羽に命中。無事に取ることができました。
「やった!とれた!」と皆で喜びながら、地面に落ちた羽を回収。近くには、先程投げた板も転がっています。
よく見ると、筆で書かれたような不思議な文字が書かれていました。
「これ、どこから持ってきたの?」一人が友人に尋ねると、返ってきた答えに皆が凍りつきました。
「近くの墓に刺さってたの抜いてきた」
彼は、誰のかも分からない「卒塔婆」を墓から持ち出し、あろうことかバドミントンの羽を取るために放り投げていたのです。
皆が怒り、すぐに元の場所に戻させましたが「たたりなんか、あるわけないじゃん」と本人は最後まで反省することはありませんでした。
彼の行為にドン引きし、夫らはその日は早くに解散となりました。
翌日、夫が登校。いつものように授業を受けていると「事件」が起きました。
「卒塔婆」を投げた友人が、奇声をあげて暴れだしたのです。
教師が彼を取り押さえ、声を掛けても全く通じません。言葉にならない何かを発しながら暴れ続けます。
休憩時間になり、友人である夫らが呼ばれました。夫は、昨日の出来事を正直に話しました。
事情を知り、教師はすぐに彼の家に連絡。夫らも呼ばれ、教師の知り合いのお寺に連れていかれました。
全員でお祓いを受けた後、お坊様からの言葉に皆が恐怖しました。
「彼は、彼に関わりのないご先祖様を怒らせてしまいました。
彼の体には怒りの念が入ってしまい、私では払う事が出来ません。どんな事があっても、お墓のものや人様のものをイタズラしてはいけないよ」と注意を受けました。
暴れる事は無くなったものの、彼は意味不明な言葉しか発しなくなっています。
両親に抱えられながら、彼はお寺を後にしました。
友人らと教師とで見送った背中が、彼を見た最後になりました。
翌日から彼は学校に来なくなり、人伝に「精神病院」にはいったことをききました。
あれから数十年、彼とは未だに会えず元気なのかも分からないそうです。
怖いというより、
仕方ないねぇ…としか言えない。