おまご様
投稿者:空穂 (6)
友人のAから聞いた話だ。
Aは現在結婚して、2人の子供に恵まれている。
これは、Aが下の子を妊娠していたときの話だ。
ある日、旦那と義父から、
「お爺さんとお婆さんが元気なうちに、曽孫の顔を見せたい」
と持ちかけられた。
旦那の祖父母は、遠い山陰の山奥で暮らしている。
2人とも90歳を超えた高齢ということもあり、Aが顔を合わせたのは結婚式の時だけ。
上の子が産まれた時も、電話をしたり写真を送ったりしただけで、直接は会っていなかったという。
しかし、旦那からしてみれば、自分を可愛がってくれた祖父母。
やはり一度くらいは曽孫の顔を直接見せてあげたいと思っていたそうだ。
その気持ちはAにも理解できたため、安定期に入ってから連休を使って連れて行ってもらった。
ただその時も、曽孫の顔を見せたいなら下の子が産まれてからの方がいいんじゃないかな?とは思っていたらしい。
まあ、出産予定日が冬だったから、雪が降ると山陰は交通の便が大変だし、翌年の夏を待っていたらお爺さんたちも元気かわからないし……と、勝手に納得していたそうだ。
そんなこんなで、旦那と義父も一緒に、お爺さんの家に着いた。
2人とも、「懐かしいなー、懐かしいなー」と、やたらとテンションが上がっていて、「Aを連れて来れて本当に嬉しいなー、来てくれてありがとう」と何度もお礼を言われた。
Aも嫌な気はしなかったから、「私も来れてよかったです」とニコニコしていたらしい。
旦那の祖父母もすごく歓迎してくれたそうだ。
特に、お腹の赤ちゃんのことはこっちが恐縮してしまうくらい喜んでくれたという。
Aの子どもは、上は女の子。
下の子の性別は、その時にはもう診断されていて、ほぼほぼ男の子だろうと言われてた。
田舎の古い考え方と言ったらそれまでだが、祖父は「後継ぎだ、大事な跡継ぎだ」と言って、ものすごくはしゃいでいたそうだ。
「Aさん、身体を大事にして元気な赤ちゃんを産みなさい」と何度も言ってくれた。
ところで、祖父母の家はかなり広い日本家屋だった。
小さい子なら4、5人集まっても隠れんぼが出来そうなくらいの広さだ。
田舎では普通の大きさらしいが、Aには十分珍しかった。
「立派なお家ですね」と感心していたら、祖父が喜んで、旦那に「ちょっとAさんに家を案内してあげなさい」って言ってくれたらしい。
それで、Aは旦那に連れられて、ぐるっと家の中を見て回ることになった。
「ここは縁側、ここは仏間」なんて色々と説明してもらっていたが、Aたちが泊まる予定の客間に入ろうとしたとき、不思議なものを見た。
障子の向こうに、黒い子どもみたいな人影がサッと過ぎったような気がしたそうだ。
あれっ?と思ったが、そのとき家にいる小さい子なんてAの長女しかいない。長女はAが手を繋いでいたから、障子の向こうにいるわけがない。
それに部屋の中に入ったら、当然誰もいない。
Aは何か見間違えたか、気のせいだろうと思って、特に誰にも話さなかったそうだ。
なにこれめっちゃ面白い
正体が気になる
やはり悪霊の類なのだろうか
得たいの知れないものが入ってくるのを拒否出来るなんて凄い精神力ですね。
ハイレタ…ハイレタ…
座敷童子の可愛い子なら受け入れたかも知れないけど、そんな悪霊のような妖怪は拒否するのが一番ですね。
旦那さんの母親もも同じ経験したのだと思います。
恐ろしい状況に置かれながらも努めて冷静に対処する姿が素敵だと思いました。
そして怖い。
最初おかっぱの女の子と思ってたのは潰された頭部が髪型のように見えた…
ということだろうか
祖母がおまごさまをお腹に受け入れた際、赤ちゃんは外に掻き出されて潰れた姿となり、妊婦のお腹に入ろうとする悪霊になったのだろうか?
母は強し。
最初は本当に座敷わらしのような福を呼び込む存在が加護を与えてくれたんだろうけど、それから「もう一度祝福をください」みたいな事を願って、その呼び声に福を与えた者ではなくタチの悪い悪霊みたいなのが来てしまってそのまま棲みついたんじゃないかな。そんでまだ自我の薄い赤ちゃんの体を乗っ取っろうと虎視眈々と狙い続けてる。今は母親が全員その存在を拒絶してるから乗っ取りに失敗してるけど、乗っ取りに成功してしまったり福ではなく災いを招くーーとかいう妄想をしてしまう。
母親が離婚したがる気持ちもわかる
御家が発展するための生贄なんでしょうな
>最初は本当に座敷わらしのような福を呼び込む存在が加護を与えてくれたんだろうけど
このコメントの方、すごい! 是非、一本書いてください笑
男が呑気で勝手でどうしようもないな
根拠の無い物を福と信じるバカには方便で対応でいいよ。
「昨晩おまご様と話しました。福を授けるには男達が客間で寝ること。妊婦は家の中に居ないこと。」
「そげなバカな・・」って言われたら
「では今晩おまご様にそう話しますがよろしいですか?」で返せる。
つまり、堂々と家から脱出できる
魚が腐ったような生臭い匂い…
これは絶対に良くないものだと思います。
おまご様の正体は守り神などではなく、悪霊や魔物の類いでしょうね。