意味が分かると怖い波打ち際の強い光

あれは30年ほど前の事でした。

当時付き合っていた彼女を車に乗せ、海に遊びに行った時の事です。

仕事が終わり、彼女を迎えに行きそのまま海に向かったのですが、海岸へ到着したのが夜の10時頃で辺りは真っ暗闇になっていました。

ここまで来る途中に買ったハンバーガーを夕食として食べながら車の中で話していると、あっという間に深夜になってしまいました。

「明日も仕事だし、そろそろ帰らないとね」

と彼女に話しかけて顔を見ると、彼女は少しひきつった顔で海の方を凝視していました。

彼女は海を凝視しながら

「あれ…なんだろう？」

とつぶやきました。

私も海の方を見ると、海岸線からずっと離れたところに強い光が波に揺られていました。

私は彼女に

「あれはきっとイカ釣り船だよ。そんな事も知らないの(笑)」

と茶化すと彼女は、

「違うの…イカ釣り船は知ってるけど…あの光って段々こっちに近付いて来てない？」

よく見ると確かに、さっき見た時はかなり遠くにあった強い光は、波に揺られながらこっちに近付いて来ているようでした。

「もしかして…火の玉かもよ…(笑)」

と彼女を怖がらせると彼女は、

「火の玉ならあんな強く光らないでしょ？あれは絶対UFOよ！」

と興奮していました。

確かに火の玉のようにボヤっとした光では無く、サーチライトのように強く光ってこちらを照らしているようでした。

「そうだ…UFOかもしれないね…」

と観察していると、まだまだ2～300m以上は離れていて恐怖心は感じず、

「まだ遠くだから大丈夫だよ(笑)あれがUFOなんだ！生まれて初めて見た！」

生まれて初めてみたUFOと思われる強い光に興味深々でした。

と、その時

「えっ…あの光…波打ち際まで来てない？」

と彼女が怯えだし、強い光をよく観察すると、確かに波打ち際の波に反射して光っていました。

私も急に怖くなり

「逃げるからシートベルトをしっかり着けて！！」

と彼女に言うと、大急ぎで車をUターンさせ全速力で防風林の中をぶっ飛ばしました。