槍ヶ岳の麓のキャンプ場での不思議体験
投稿者:ゾンデ (1)
数年前の9月の連休のことです。
私はテントと食料を背負って、山仲間2人と北アルプスの縦走をしました。
スタートは富山県の折立。そこからいくつも山を越えながら4泊して長野県の新穂高へ下山しました。
連休ともあって、どこの山荘もキャンプ場もとても賑わっていました。
登山道も混んでいて、槍ヶ岳の山頂への最終アタックは大渋滞。
私たちは、なるべく早く混雑したルートや小屋を避け、上高地側では無く岐阜側へと下山しました。
そして最後のキャンプ地は槍平小屋。小屋の少し下には、クライマーが憧れる険しい滝谷。
目の前には有名なジャンダルムがそびえ立つ、マニアにはたまらないキャンプ地です。
ですが、登山客はとても少なく、その日テントを張っていたのは私たちの他に3組だけでした。
槍ヶ岳の谷を流れる沢がとても心地よく、無事の山旅を沢に足をつけながら友人と乾杯しました。
谷間の小屋なので日暮れが早く、17時にはすっかり暗くなっていました。
疲れもあり、18時にはそれぞれのテントに入り、隣の友人のテントからはいびきも聞こえ始めました。
他の3組も、同じくらいにテントに入り、辺りは沢を流れる水の音だけ。とても静かで贅沢な空間でした。
私もすぐに寝袋で眠りに落ちました。
そして次に目が覚めたのは、夜中の2時。足音と鈴の音で目が覚めました。遠くから、段々と近づいてくるような鈴の音。ですが、鈴の音がなんだかちょっと違うのです。熊よけのリンリンと鳴る鈴ではなく、錫杖の鈴のようなシャンシャンという音。朝日を見るために夜中に登ってきた人かもしれない。そう思って耳を澄ましていると、足音は消えて鈴の音だけになりました。そこからは一気に恐怖を感じ、寝袋の中で必死に目をつぶって、音が聞こえなくなるまで固まって朝を迎えました。
翌朝、友人や周りのテントを張っていた方に聞いてみましたが、誰も鈴の音を聞いた人はいませんでした。
キャンプ地のすぐ下には、掘立て小屋があります。そこは、昔、滑落して亡くなった方々の遺体安置所だったそうです。
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