麻雀部屋で怒る女の人
投稿者:廉 (8)
短編
2021/08/31
11:12
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幼少期、祖父母の家へ2歳上の姉と一緒によく預けられていました。
祖父母の家は2階建ての一軒家。
家中を姉と走り回って遊んでいました。
祖母には何度も怒られましたが、それも楽しくてテンションが上がっていました。
1階に麻雀部屋と呼ばれる部屋があります。
祖父が友人や親戚と麻雀を夜通し楽しむ部屋です。
牌のジャラジャラとした音や、大声がうるさくて利用時は近寄りません。
日中に姉と鬼ごっこやかくれんぼをしていました。
ふと目の前に女の人が立っていました。
お団子頭に地味な着物。
私たちと頭一つ分くらいしか変わらない身長。
表情はムッとしていて目が怒っています。
腕を振り回し、出ていけと言っています。
無言で怒られ続けましたが、姉と2人笑いながら走り回っていました。
私が年中の時、祖父母の隣の家に引っ越しました。
その時にはもう女の人はいませんでした。
「あの麻雀部屋にいた背の低い無口で怒りっぽい人って誰?」
数年後母に聞いた時の驚いた顔が忘れられません。
ひいばあちゃんに当たる人で、目も見えず、耳も聞こえない人だから話さなかったのだと。
ただ母が父と結婚する前に亡くなっているとのこと。
言われてみれば麻雀部屋には勝手口やキッチンがあります。
あの部屋にひいばあちゃんは住んでいたのです。
なぜ生まれる前に亡くなったひいばあちゃんに会っているのか不思議です。
今でも麻雀部屋に入るとひいばあちゃんを思い出します。
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